第365夜:正吾さんの武寛写し(小)&菊宏作
ここ数日、心臓の具合が良く無く血圧を計ったら、最低血圧が100を大きく超えておりギョッとした。かかりつけの病院に連絡したら、診察は早くても24日の午後との事。それまでは家で安静に過ごさなければ…。さて、今夜は昨夜の続きで正吾さんの武寛写しの小の方の紹介である。「原」の武寛こけしの大小2本は同時に作られたものと思われ、ほぼ同じような作行きではあるが、面描には多少違いも見られ、そこが見所でもある。さて、この2本の写しが届いたのは6/9、その数日後の12日に、何と武寛写しと思われるこけしがヤフオクに出品された。志田菊宏さんの作で軽部留治型となっている。しかも胴底には署名と共に「令和元年」と書かれている。どういう経緯でそのこけしが作られ、そしてヤフオクに出品されたかは定かではないが、5月から遅くとも6月頭の間に作られたもので、その時期は正吾さんと同時期と言える。こけし界の「縁」の話はよく耳にするが、またまた驚かされ比較のために、菊宏作も入手した。口絵写真は、正吾作の武寛写し(小)の表情である。大滝武寛の鶴岡こけしの話をしていたら、昨18日の夜、鶴岡市で震度6弱を記録する大きな地震が発生した。人命にかかわる被害が無かったのは良かったが、被災された方々にお見舞い申し上げる。
正吾さんの写しを「原」と並べてみた。大きさは4寸で頭は嵌め込み。木地形態・胴のロクロ線や楓の模様は「大」こけしと一緒。面描は前髪が上に上がって顔の面積が広くなり、明るく元気な幼子の表情になっている。正吾さんの写しは、その趣を見事に再現してくれた。最近は目がやや見え難くなり面描の筆先が定まらないと嘆いていたが、それはそれで思わぬ表情が生まれる可能性があり、「原」と似ているかどうかは別として楽しいものである。
さて、菊宏作(左)も並べて見てみよう。菊宏作も大きさは4寸、とても良く似ており中央の「原」こけしと同型の作であることが分かる。国恵蔵と同型の「原」が他にあり、それを元に作ったのか、または何かの写真を見て作ったのかは不明であるが、武寛作の小寸にも面描・胴模様の異なるものが数種あり、今回全く同種のこけしが出てきたのは偶然とは言え、因縁を感じてしまう。面描は良く似ており、それだけに胴下部の太い緑のロクロ線がグラデーションになっていないのが残念である。次回作る時は、グラデーションにして欲しいものだ。
顔の表情と頭頂部の赤い水引模様も比べてみよう。複雑な水引を菊宏さんは自分なりに様式化したことが分かる。
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