第364夜:正吾さんの武寛写し(大)
先日、高橋正吾さんから、大滝武寛写しのこけしが届いた。先月(5/12)弥治郎で開催された友の会のこけし談話会の帰りに鳴子に寄った折に頼んだもので、一か月足らずで作ってくれたことになる。何とも面倒な写しの作成であり、いつもながら正吾さんには感謝である。「原」こけしは第347夜で紹介した大滝武寛のこけし2本。武寛は木地を鳴子の「高亀」に頼んで、それに描彩してこけしを作っており、その関係から正吾さんは武寛のこけしも作っている。口絵写真は写し2本の内、大きい方のこけしの表情である。
今夜紹介するのは、写し2本の内の大きい方(5寸2分)である。戦前に「高亀」で作った木地とは言え、正吾さんにとっては手慣れたものではなく、面倒をおかけした。武寛のこけしでは胴下部に引かれた緑の太いロクロ線にグラデーション(ぼかし)がかけられており、それが一つの特徴になっているが、赤ロクロ線との色彩も見事に再現して、通常の鳴子こけしとは異なる斬新な色調のこけしが出来上がった。一葉の大きな楓が強いアクセントになって目を引く。
頭部を比べてみよう。「原」の二側目の愛らしい瞳は相当の下目に描かれているが、武蔵の戦前のこけしも下目が特徴であり、その辺りは正吾さんにとってはお手の物なのであろう。実に上手く再現している。ただ、武寛は「絵描きさん」なので筆遣いをゆっくりと丁寧に描いているので、その点が自分とは異なり同じようには描けないと正吾さんは話していた。
複雑な頭頂部の赤の水引(?)も正吾さんなりに観察して再現してくれた。どうしてこのような様式になったのかは分からない。
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