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第370夜:美津雄の古型ロクロ(その4)

Morimitu_rokuro_s50_kao 津軽系こけしの中でも盛秀型古型ロクロ(開き目)は好きなこけしで力を入れてコレクションしている。美津雄さんは各種の盛秀型こけしを作っており、この古型ロクロもそのレパートリーの一つなのだが、それがいつ頃から作られ始めたのかは判然としていない。「盛秀一家のこけし辞典」には美津雄さんのこけしが初期のものから各種年代順に掲載されており有難い。その中では昭和59年のものが一番古いようだ。先日ヤフオクに出品された古型ロクロは、署名と描彩様式からそれより古いものと思われ入手した。今夜はそのこけしを見てみたい。口絵写真はその古型ロクロの表情である。

Morimitu_rokuro_s50_2men

こちらがその古型ロクロの全体像である。大きさは6寸である。

Morimitu_rokuro_s50_hikaku2

このこけしを検証するために手持ちの同型のこけしと比べてみよう。左が今回のこけしで右は千夜一夜(1)第107夜で紹介した昭和62年作。先ず木地形態を見てみよう。左はやや平頭気味で、胴も直線的でやや角張っているのに対し、右は丸頭で肩も丸みを帯び柔らかい印象を受ける。次に胴のロクロ線模様である。左と右とで配色の順番が異なっているのが分かると思う。胸部、胴中央の段部、胴下部にある赤ロクロ線を挟む緑と紫の配色が変わっているのである。左では胸部の赤は上下を紫のロクロ線で、下部の赤は上下を緑のロクロ線で、また段部は上を緑、下を紫で挟んでいる。一方、右では胸部、段部、下部の3つの赤とも全て上が紫、下を緑で挟んでいる。なお、左の配色は「盛秀一家のこけし辞典」では昭和54年作の美津雄こけし(頭は髷)に見られるので、初期の配色と思われる。一方、昭和59年の古型ロクロでは右の配色となっている。

Morimitu_rokuro_s50_kao_hikaku

次に顔の描彩を見てみよう。眉・目の湾曲が右の方が大きくなり明るく元気な表情になっているが、一番の違いは頬紅の形である。右では他の盛秀型こけしの頬紅と同様、眉から頬まで目全体を覆って塗っているが、左では目の下の頬のみに塗っている。但し、左のような頬紅は殆ど見られず特異な描彩である。これは最初に参考にした盛秀こけしが戦前もので描彩が判然としなかったからかも知れない。

Morimitu_rokuro_s50_syomei2_hikaku

最後に署名である。「盛秀一家のこけし辞典」によれば、美津雄さんの署名は、当初はひらがなで「もり」「みつお」「もりみつお」と書き、昭和54年3月の1000番まではナンバーが入っている。その後昭和50年代は同様のひらがな(ナンバーは無し)であったが、昭和60年からは「盛みつお」となり平成7年初頭まで続く。平成7年1月12日からは「盛美津雄」と全て漢字となる。

以上のことから本項のこけしは、昭和50年代後半(昭和54年~58年頃)の作と推定される。

 

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