第380夜:祝!鳴子コンクール受賞(長谷川正司さん)
米沢の長谷川正司さんとは長い事懇意にして頂いている。正司さんは数年前に奥さんが亡くなって、その後は自身も体調を崩してしまい、こけしの製作も休みがちでコンクールへの出品も中断していた。今年になって暖かくなるにつれて体調もようやく回復し、鳴子の全国こけし祭りコンクールに久し振りにこけしを出品することになった。吉太郎のこけしに心酔している正司さんは各種の吉太郎型を作っていたが、今回の出品に関して新たな取り組みを考えているようであった。ところで、国恵(筆者)には気になる吉太郎のこけしがあった。天江コレクションにある大正末期の吉太郎である。特異な木地形態と鋭い表情の迫力満点のこけしである。そこでその写真をコピーして正司さんに送った。正司さんも興味を持ったようなので、その吉太郎こけしの所蔵者である高橋五郎さんに問合せを行った。その吉太郎は今までに復元されたことは無いようで、作っても良いとの返答を頂いた。正司さんは鳴子のコンクールに5本のこけしを出品したが、この天江吉太郎型が選ばれて福島県知事賞を受賞した。今夜はその同型こけしを紹介しよう。口絵写真はその表情である。
こちらがそのこけしである。大きさは8寸である。天江コレクションの吉太郎は6寸7分であるが、今回は「原」をそのまま復元するのではなく、その特徴を取り入れることが目的なので、同じには作っていない。胴はやや太目で裾部が窄んでいるが、「原」ほどには極端になっていない。但し、木地形態での一番の特徴である、肩の上部が平らに切り取られ、首の部分が抜け首のように外から見える点は再現されている。また、胴模様の梅花は「原」は3個であるが、本作では身長が長いため4個になっている。
表情の雰囲気がやや異なるものを並べてみた。正司さんの作る吉太郎型は表情のきつい感じのものが多かったので、今回のような表情の吉太郎には合っていると思っていたが、「原」の雰囲気を見事に再現出来たと思う。正司さんにとって久し振りの挑戦であったが、筆致の鋭さは健在であり、それが何よりも嬉しいことであった。
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