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第392夜:落穂ひろい(朝倉光洋)

Koyo_eiji_kao 遠刈田の朝倉光洋さんが亡くなってから2年以上が経った。人生100年時代と言われる昨今、71歳での他界は少々早過ぎたと思う。光洋さんは営業に熱心で、デパートでの実演・即売によく上京していたので、何回かお会いしお話も伺った。こけし以外にも木地玩具等、色々なものを作っていたが、こけしはちょっとクセのある本人型が多く、いつも気に入ったものが無かった。「腕が良いのだから、もっと良いものを作って」と言うと「今度来るときには作ってきます」と言っていたが実現しないままに亡くなってしまった。先日のヤフオクに光洋作のこけしが2本組で出ていた。1本は直治型と分かったが、もう1本はお父さんの英次作かと見間違えるほどの作であった。これは欲しいものだと思って入札に参加したが人気が無く、応札者2名でワンコイン+アルファで国恵志堂にやってきた。今夜はそのこけしを紹介したい。口絵写真は、その表情である。

Koyo_eiji_2men

こちらが、そのこけしである。大きさは8寸3分。縦長の角張った頭に肩の詰んだ直胴、胴上下には緑のロクロ線を配し、胴模様はぼた菊の三段重ね、英次が昭和30年代の後半に作った定評のある型である。光洋さんのこけしと言うと、湾曲の大きな眉目で眼点が中央に寄った近視眼的なイメージが強いが、本作では目の湾曲も少なくきっちりとした凛々しい表情となっている。光洋さん会心の作と言って良いであろう。

Koyo_eiji_hikaku

お父さんの作(右)と並べてみた。英次作は目の描線がよく伸びて甘美で潤いのある表情になっており、一日の長を感じさせる。この秀逸なこけしも誰かに継いで貰いたいものである。

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