第398夜:福寿達磨とピアス
国恵志堂のコレクションの原点は遊佐福寿さんなので、福寿作のものは何でも集めている。先月、ヤフオクに達磨の顔を描いた福寿こけしが出品されたので迷わず入手した。現物が届いて、改めてじっくりと眺めていると、達磨には耳が描かれており、そこには何と金色のピアスが付けられていたのである。そこで、ネットで達磨大師の画像を探して見ると、確かに環状のピアスをしているではないか…(口絵参照)。福寿さんがソニー頒布で達磨を作ることになった折、今まで作っていた達磨とは違ったものを作ろうと考えたのだが、それを知った愛好家から達磨の絵や写真が載った本が沢山送られてきたと言っていた。それらを参考にして、忠実にピアスまで描いたのであろう。口絵写真は達磨大師の画像である。
こちらをご覧いただこう。左からソニー頒布の達磨(H10年)、今回入手の達磨こけし、子持ち達磨(H9年)。これらは、ソニー頒布のこけしを作っている過程で作られた達磨と思われる。
上記3体の達磨の耳である。いずれにもピアスが付けられている。福寿さんに限らず多くの工人が作る達磨は赤い頭巾を被ったものが多く、そのために耳は隠れていて描かれない。ところが今回、ソニー頒布のために作った達磨は頭出しのものとなったため、耳を描くことになり、更にはピアスも付けることになったのであろう。右の子持ち達磨は飾り付きのピアスになっている。
ところが、今月1日にヤフオクで入手した福寿達磨は新しい事実を語ってくれた。左は「63.1.24」の書き込みがあり昭和63年頃のものと思われる。一方、右には製作時期を示すものはないが、達磨の様式と署名の書体からほぼ同時期のものと思われる。
上の2達磨を横から見たものである。右の達磨には、赤い頭巾との境目に墨で「耳」が描かれているのである。すなわち、この頃から福寿さんは達磨の耳をはっきりと認識しており、書き込んだのであろう。流石に「ピアス」までは意識しなかったのかも知れないが…。
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