第403夜:源三郎こけしの不思議な縁(えにし)
今年も大晦日前日を迎えた。昨年は好天であったが、今年は雨日となってしまった。本ブログもこの403夜で今年を締めくくることにしよう。今年は327夜からスタートしたので、この一年で76夜分を加えたことになる。さて、今年最後は日下源三郎のこけしで締めることにしよう。先日ヤフオクで源三郎のこけしを入手した。既に持っている源三郎こけし(千夜一夜1第617夜)とは異なる胴模様が興味を持ったのである。そのこけしが家に届き、暫く眺めていたのだが、それとは関係なく最近入手こけしを入れてある段ボール箱を覗くと、今回入手した源三郎こけしによく似たこけしが目に入った。それは二月ほど前に10本纏めて入手した中の1本であった。胴底の署名をみると小林清とある。清さんが源三郎型のこけしを作っているとは思いも寄らなかった。またまた「こけしがこけしを呼ぶ」というこけし界の不思議な縁に遭遇したのかも知れない。口絵写真は、源三郎こけしの表情である。
まず、源三郎のこけしを見てみよう。大きさは5寸。肩の詰んだ太めの胴に、やや縦長の丸い頭がカッチリと嵌っており頭は簡単には回らない。三角形の簡単な前髪から一本の黒髪を後方に垂らし、その左右を赤い手絡で飾っている。目は顔の中心よりやや下で両端が離れた二側目となっており、静かながらかすかな微笑みを湛えている。鬢は小さい。胴には、3枚の花弁を上下左右の4方に配した花模様を3段に重ね、上下は花弁を赤で花芯を緑、真ん中は花弁を緑で花芯を赤で描いている。面白い模様であるが何の花なのかは定かではない。
さて、清さんのこけし(右)と並べてみた。清作は、木地形態・大きさ・面描から胴模様まで、まるで左の源三郎こけしを写したようにそっくりである。左と同手の源三郎こけしを原として作られたものに間違いないであろう。しかも、写しとしての完成度もかなり高い。国恵は恥ずかしながら清さんの写しはあまり見た事がなく、そのためこのような立派な写しがあったことは驚きであった。
表情を見比べて頂きたい。清作は有色材(朴材か)を使ったせいか色合いも良く似ており、源三郎の特徴をよく表している。
さて、本年も今夜が最後のブログとなりました。
この一年間、ご覧頂いた皆様方に感謝いたします。
明後日には新年を迎える訳ですが、今後共よろしくお願い致します。
それでは、良いお年を… (国恵)
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