第418夜:再会した希三こけし
安倍首相の小中高校の休校要請で日本国中が混乱している。一億総自粛といった雰囲気が広がり、人が集まる行事は一斉に中止や延期となっている。22日からこけし展「こけしⅡ 遠刈田と土湯・中ノ沢」が始まった天理ギャラリーも3/15まで休館となってしまった。また、毎年3月に千葉そごうの「宮城県の観光と物産展」に出展している柿澤是伸さんも今年は出展しないとの連絡があった。抵抗力の弱くなった我々高齢者は、家に籠ってひたすら新コロナウィルスが鎮まるのを待つしかないか…。さて、昨夜紹介した岸正男のこけしと一緒に、大沼(後藤)希三のこけしも譲って頂いた。希三にしては珍しい重ね菊の胴模様で、都築コレクションの写真で見たものであった。その写真にはもう1本同じ大きさの希三こけしが載っており、それは数年前に入手していた(第900夜で紹介)。すなわち、今回その2本のこけしが我が国恵志堂にて再会した訳である。口絵写真は今回入手した希三こけしの表情である。
こちらがその希三こけしである。大きさは7寸7分。細身の胴に小さめの蕪頭でスマートなこけしである。黄色の胴に赤い菊花と緑の葉を三段に重ねており保存状態は良い。本作のようにぼってりとした花弁を重ねた重ね菊模様は珍しいのではないか。
第900夜のこけし(左)と並べてみた。大きさは左の方が1分ほど大きいが、これは手仕事の誤差の様なものであり、形態、描彩とも姉妹こけしのように似ており、ほぼ同時期の作と思われる。ただ両者を比べると表情に違いがあるように見える。
そこで、顔の部分を特出しで比べてみる。前髪と鬢は。ほぼ同じ筆致で描かれている。ところが、眉・目・鼻の面描について見ると、各部分は同じ位置であるが、左は太い筆致で大振りに描かれており、右は細い筆致で切れ長に眉・目を描いている。面描を描いた筆の違いとみることもできるがどうであろうか…? やはり多少なりとも製作時期が異なると考える方が自然かも知れない。ちなみに、肩の山のロクロ線の色と配置は両者で異なっている。
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第303夜のみつを作に雰囲気が似てますね♪
投稿: しょ〜じ | 2020年3月 1日 (日) 17時55分
第303夜のみつを作に雰囲気が似てますね♪
投稿: しょ〜じ | 2020年3月 1日 (日) 17時55分
しょ〜じ様
なるほど! 気が付きませんでした。
改めて、303夜の「みつを」を見直し、「こけし・人・風土」を捲ってみたら、145頁に載っている「みつを」こけしの現物のようです。その頁には「竹雄の遺髪をつぐ後藤希三も・・・」とあり、希三は竹雄の影響が大きかったとのことなので、似ていて当然かもしれませんね!
投稿: 国恵 | 2020年3月 1日 (日) 18時54分
国恵さま、「こけし・人・風土」の掲載品であることは間違いないのですが、竹雄さんの作品でみつをさんが胴模様のみ手伝ったことがあると秀雄さんより聞いた事があり気になったのです(風土P137左端?)。風土P173等の名前の誤りもあるので303夜の作品自体が希三さんのものかなと思ったのです。
※すみません。勝手な想像ですm(__)m。
投稿: しょ〜じ | 2020年3月 1日 (日) 22時05分
しょ〜じ様
当時は一家でこけしを作っていたことも多く、今となってはその真偽は分かりませんが、写真では分かり難いものも、現物で見ると分かることもありますね。色々と想像するのは楽しい事です。機会があれば、現物をお見せしたいです。
投稿: 国恵 | 2020年3月 3日 (火) 00時29分