第417夜:岸正男の「原」こけし
昨日、安倍首相より新型コロナウィルス対策の緊急要請があり、ここ一二週間が正念場という状況を迎えたようだ。早速、各種のイベントやスポーツの中止、学校の休校が続々と発表されている。さて、第378夜で岸正規の正男型を紹介したところ、こけし談話会で先輩から正男の「原」ではないかと思われるこけしを見せて頂いた。一見して「原」の可能性が高いと判断して所望してしまった。そして、友の会2月例会の帰りにひやねに寄った折、先輩からこの正男のこけしを譲って頂くことができた。帰宅して、早速正規のこけしと比べるとどう見てもその「原」と思わざるを得なかった。今夜は、そのこけしを紹介したい。口絵写真は正男こけしの表情である。
こちらがその正男のこけしである。大きさは8寸6分。調べてみると、これは都築コレクションの旧蔵品であった。前から見た感じでは面描がやや薄くなっているものの緑も残っていて状態は良いようであった。但し、頭と胴の木地の裏面はかなり痛んでおり、それが裏面であって本当に良かったと思う。戦前復活当初の木地は秋山忠のものであったというが、頭頂部が扁平で角張った頭が目に付く本品の木地は正男本人であろうか…。上部の横菊と中央部の正面菊の周りには一面に茎葉が散りばめられ、金太郎系列の特徴を如何なく表している。
正規の写しと並べてみた。左は第378夜で紹介したもの(平成2年10月)。その後、ほぼ同様の写し(右:製作日不明)を入手したので、これも並べて見た。いずれも正規の力量の高さを示す出来栄えである。左右の写し2本は同時期に作ったもの(但し、左はロー引き無し)と思っていたが、こうして改めて比べてみると幾つかの違いも見られ、同時期ではないのかも知れない。
頭頂部の水引を比べてみた。正男の水引(中央)は前髪の左右を埋めるように描かれているが、正規(左)では前髪と水引の間に隙間が出来ている。ところが正規(右)ではその隙間を後から埋めたような筆跡が残っている。また眉目の位置や枝葉や蕾の描き方も右の方が「原」に近いようである。従って、当初の写しは左のようなものであり、その後改良したのが右の作と思われる。
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安倍首相
投稿: | 2020年2月29日 (土) 16時31分
ご指摘ありがとうございました。訂正しました。
投稿: 国恵 | 2020年2月29日 (土) 16時57分