第419夜:正司さんの「写楽」写し
新型コロナウィルスは拡散状況にあり、今日から日本中の殆どの学校で一斉休校に入った。ここ二週間の頑張りで沈静化を祈りたい。さて、こけし界の先達には粋な方々が多く、特徴的なこけしには綽名を付けて楽しんでいた。山形の小林吉太郎のこけしには、「写楽」という名物こけしが存在する。「原」こけしは植木昭夫氏所蔵の正末昭初の尺3寸の大こけしであり、その柳眉逆立つ表情が浮世絵師「写楽」の描く大首絵に似ているところから付けられたようだ。このようなこけしは復元の対象となり後継の工人によって写しが作られている。「写楽」については小林清次郎の写しが「こけし 古作と写し展」用に作られた。今夜紹介する「写楽」写しは長谷川正司さんのもの。口絵写真はその表情である。
こちらが正司さんの「写楽」写しである。大きさは原寸(尺3寸)である。胴底には「横浜こけし会 新年福引 五.一.一七」の書き込みがある。正司さんの「写楽」写しは20年程前に正司さんを訪問した折、入手する機会があったのだが、買い漏らしてしまったままになっていた。それ以来入手の機会が無く、ヤフオクでようやく出会えた訳である。「原」の実物を見た事がないので写真での比較となるが、迫力のある面描にぼってりとした胴模様がぴったりとマッチして、「原」の雰囲気を余すところなく表しているのではないだろうか。
こちらが正面からみた表情。下部が後ろに跳ねるように描かれた大きな鬢の上を筆太の赤い鬢飾りが覆い、大振りの眉・目・鼻が迫力満点に強い視線を送る。正に千両役者の「写楽」である。清次郎作に勝るとも劣らない写しと言って良いだろう。
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