第425夜:忠市の古作と70の桜
今日3月26日は、本来なら東京五輪の聖火リレーが福島から盛大に出発するはずであった。そんな記念すべき日は国恵(筆者)も70への門をくぐる日であった。しかし、新型コロナウィルスの感染拡大は重大局面に差し掛かっていた。そんな中、今日はこけし手帖の校正作業のため、ほぼ一か月ぶりに電車で東京に出掛けた。折からのお花見日和に釣られ、校正が終わった後、靖国神社と千鳥ヶ淵まで足を延ばした。昨夜、小池都知事が自粛要請を出したこともあって、花見客は例年の半分位。開花状況は7分程度で露店も出ていないため賑やかな雰囲気はなく、静かなお花見となった。さて、先日ヤフオクで入手した秋山忠市のこけしが届いた。鳴子系では珍しいオカッパ頭、今夜はそのこけしを紹介しよう。口絵写真はオカッパ忠市の表情である。
先ずは、お花見の写真から…
こちらは靖国神社にある東京都の標本木。今年は21日に開花宣言があった。
靖国神社の露店広場。昨年復活したのだが、今年は新型コロナの影響で出店しておらず寂しい限りである。
千鳥ヶ淵。ここも例年なら、お堀にボートが沢山浮かんでいるのだが、貸しボートも中止となっている。
日本武道館に続く田安門の前の橋。毎年大勢の花見客でごった返す場所であるが、花の開花も7分程度で花見客もまばらであった。
さて、こけしの話に移ろう…
こちらが、秋山忠市のこけし。大きさは6寸。胴底に「昭和十五年頃」という書き込みがある。スラっととした細身の胴に、蕪形の頭を付けている。胴下部には秋山家の特徴である鉋溝が1本入っている。昭和14年頃の忠市のこけしは大頭が特徴であるが、15年になると小さくなるようだ。3輪の菊を胴に配した胴模様は深沢コレクションの忠市こけしに見られる。しかし、このこけしの一番の特徴は頭がオカッパ(黒頭)であること。鳴子系でオカッパのこけしは珍しく、国恵志堂にも初見のこけし(第773夜)が1本あるだけである。父である忠のこけしでも見た事がないが、叔父にあたる秋山慶一郎のこけしにはオカッパのものがあるので、その影響かもしれない。
更に古い(昭和8年)忠市こけし(左)と並べてみた。木地の形もしっかりして描彩も安定してきたことが分かる。この昭和14,5年頃の正面菊は花弁が花芯を覆って全体を塗り潰したように描かれるのも特徴である。
署名を比べて見た。「忠市」の書体が同じであり、共に忠市本人の署名と考えられる。
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70歳のお誕生日、おめでとうございます!
これからも興味深いこけしの話を楽しみにしています。
投稿: ブーちゃん | 2020年3月27日 (金) 20時04分
ブーちゃん様
ありがとうございます。
先ずは目前の500夜を目指して頑張ります!
投稿: 国恵 | 2020年3月27日 (金) 20時10分