第437夜:新山茂のこけし
昨夜との関連から、やはり早逝してしまった新山茂のこけしを取り上げたい。こけしの世界で珍品・稀品と言われるこけしがある。種々の理由で製作数が少なかったもので、多くは戦前のものである。国恵はこけしを満遍なく集めている訳ではないので、それらのものがどうしても欲しいという訳ではないが、程々の価格で入手できるのであれば手元で見てみたい気はある。弥治郎系の新山茂のこけしもそんな1本であった。茂は久治の次男で大正9年の生まれである。尋常高等小学校を卒業の昭和10年から父久治について木地修業をし、昭和14年までこけしや玩具類を作ったという。昭和15年に軍隊に入り、19年10月30日に戦死した。従って、茂のこけしは昭和10年から14年頃までのものしか無く、残るこけしは少ない。口絵写真は茂こけしの表情である。
こちらが、新山茂のこけしである。大きさは6寸、弥治郎のペッケとしてはやや大柄である。胴底に「久松」の印跡があったので、久松氏の著書「こけしの世界」を見てみると、33頁の《180》に8寸の茂こけしが載っており、その解説では「昭15・5・11と記入あり」と書かれている。本稿のこけしの底にも「昭十五.五.十一」とあることから、「こけしの世界」の8寸と本稿のペッケは一緒にあったものと推測される。「こけしの世界」の8寸では胴下部の赤い裾線は4本で描かれているが、本稿のペッケでは3本となっている。
同じく3寸のペッケ(左)と並べてみた。いずれも、弥治郎の素朴で愛らしいペッケである。僅か4年余りで早逝してしまったのが惜しまれる。
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