第438夜:朝倉英次の古作復元
緊急事態宣言が全国に出されてから2週間が経ち、自粛の成果が出てくる頃だが東京でも新規感染者の100人超えが続いている。まだまだ皆の自粛が足りないようだ。さて、大正期からこけしを作っている朝倉(佐藤)英次は正末昭初の頃に見られる一側目のこけしが素朴な味わいを持っていて評価も高く人気もあるようだ。そのため、この型のこけしを希望する愛好家も多く、妻きぬさんもその写しを作っている(第261夜参照)。今夜は、英次自身が戦後に作った自身の古作の写しを紹介する。口絵写真はその表情である。
こちらが、その英次の復元こけしである。大きさは6寸2分。この手の英次古作の標準サイズである。胴底に「友の会 朝倉英次 38.6.4」と鉛筆書きがあり、友の会での頒布品と思われる。
きぬの写し(左)、英次の古作(真ん中)と並べて見てみよう。先ず木地形態。本作(右)は肩が撫で肩で胴もやや細いようだ。頭も若干縦の長さが短い。次いで胴模様。古作は筆太に大きな重ね菊を3段に重ねているが、本作では各菊花がやや小さくなっているようだ。このような傾向は大原(佐藤)正吉のこけしにも見られ、戦前・戦後のこけしの流行なのかも知れない。最後に面描。鬢飾りは古作は前髪と鬢の間から後方に立ち上がるように描かれているが、本作では前髪から横に引かれている。また、本作では眉・目が下がって額が広くなり、眉・目・鼻・口が中央にこじんまりと寄った描彩になっている。一方、きぬ作は古作に近い。こうしてみると、きぬ作には古作を忠実に写そうという気持ちが良く表れ、筆もよく伸びている。一方、英次は自身が過去に作っていたものなので、古作を写そうというより昔を思い出して作ったものと考えるのが適当なのかも知れない。英次が一側目のこけしを戦前と戦後に作った、その時代の差なのであろう。
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