第433夜:庄七、本型で見参!
東京などに緊急事態宣言が発せられてから一週間以上になるが、新型コロナウィルスの感染は全国的に広がっている。このような状況を受けて、緊急事態宣言の対象地域が「全国」となった。さて、昨夜は庄七の三蔵型を紹介したが、秋保こけしの大本命である庄七の一般的なこけしについては適当なものが無く紹介に至らなかった。ここ数日所蔵のこけしを整理していて、保存状態はそれ程良くないが表情の良い庄七が出てきたので、今夜はそれを「庄七の本型」として紹介したいと思う。口絵写真はその表情である。
こちらがそのこけしである。大きさは6寸5分。頭はやや縦長で角ばっており、胴は細身で肩は張っている。シャープで均整の取れた木地形態が素晴らしい。先端が2つに分かれた前髪は大きく、後部は頭頂部中央にまで達している。両鬢も長く外寄りに描かれているため、顔の面積が広くなっている。眉・目・鼻は大きく顔いっぱいに描かれ、気品のある表情である。ピーク期と言われる昭和5年頃の作と比べると集中度は薄れているが、その分大らかで優しい微笑みを宿している。胴模様の三段重ね菊は花芯が丸く大きめに描かれている。「木の花(第20号)」掲載の庄七こけしの年代変化と比べると⑧に近く、昭和9年頃のものと思われる。
昨夜の三蔵型(左)と並べて見た。三蔵型は昭和16年頃の作と思われ、同じ戦前作とは言え、姿・形、描彩、表情とも相当に変化していることが見てとれる。
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