第435夜:保存の良い戦前久太郎
海外では新型コロナウィルスの感染拡大が一段落してきた国もあるようだが、日本では未だピークを迎えたとは思えない感染発生が続いている。特に医療関係者の感染は、医療崩壊に繋がる恐れがあり心配である。我々高齢者の出来ることは、外出自粛でひたすら家に籠ることであり、国恵としては本ブログの更新にひたすら励んでいる次第である。テーマはどうしても好きな鳴子系が多くなってしまうが、他の系統にも目を向けてみよう。今夜は木地山系の小椋久太郎である。本こけしも先日ヤフオクで入手したものであるが、その保存の良さ(特に色彩)は素晴らしく、とても戦前作とは思えない状態である。口絵写真はその表情である。
こちらが、そのこけしである。大きさは7寸9分。赤と緑の色彩がほぼ完璧に保持されている。胴底などにラベルや記載は一切無い。このこけしの顔を見ていて何処かで見た気がして探してみたら、kokeshi wikiの小椋久太郎の口絵であった。そのこけしは橋本正明蔵の1尺のこけしで、昭和9年となっている。久太郎のこけしは、久四郎が亡くなった昭和8年から12年辺りまでは「久四郎贋作時代」と言われて、久四郎名義のものなどが混在していると言われている。昭和9年から10年頃は、久四郎の面影を残しながらも徐々に久太郎の特徴が表れる始める頃で、本作でも胴模様の横見梅は横長の大ぶりなものから、所謂だんご梅と言われる丸い形のものへの移行が伺える。保存が良いお陰で、昭和10年前後のものを出来立てかと思えるほどの状態で鑑賞できるのは有難い。これまで戦前の古品と言うと飴色になったいかにも骨董品的なものが常連であったが、ネット社会になったお陰で最近は非常に状態の良いものに出会える機会が増えてきた。誠に喜ばしいことである。
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