第454夜:土湯の小寸こけしセット(太田精二)
日本人の生真面目さと従順さ、それに夏を思わせる暑さも手伝ってか、新型コロナウィルスの新規感染者は減少に転じ、緊急事態宣言も39県で解除されて、自粛していた人々にも動きがみられるようになり、全体的に気持ちの緩みは否定できない。願わくば2週間後も新規感染者が増えないように…。本ブログの連日更新も一段落して、新しいネタを探すべく戸棚の中を物色していると、小寸こけしには土湯系が多いことに気が付いた。理由は色々とあるのかも知れないが、それらの小寸こけしを単体ではなくセットとして見るとまた楽しいものである。今夜はその小寸こけしの中から太田精二工人のこけしを取り上げることにした。精二さんは渡辺和夫さんの弟子で湊屋系列の工人、腕の良い工人でいわき市湯本でこけしを作っているが、大正15年生まれということは90歳台半ばであり、もう作っていないかも知れない。口絵写真は小寸3点(坊主・髷・傘)の頭頂部である。
さて、こちらが精二さんの小寸(3寸3分前後)こけしセット3本である。左から坊主、髷(太子型)、傘である。いずれも作り付けではなく、頭と胴は嵌め込みで回すことが出来る。この3本、入手メモを見ると坊主と傘は昨年ヤフオクで入手しているが、髷は別に入手したようだ。従って3本セットという訳ではないが、こうして3本を並べてみると一体感があり、同時期に作られたもののようだ。小寸ながら木地形態・描彩とも細部まできめ細かに作られており、定寸物のミニチュアといった感じである。精二さんの力量が伺われる出来栄えである。この3本一応由吉型なんだろうが、こういう小寸物の場合は由吉に似ているとかどうかはあまり意識しない。小寸物としての愛らしさ、またセット物としての一体感が見どころなんだろう。1本物としての定寸こけしとは又違ったこけしの楽しみ方が小寸物にはあると思う。
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