第459夜:大弘さんの民之助写し(2)
国恵がある古品の写しを作って貰う時には、もちろん出来るだけ「原」こけしに忠実に作って貰うのだが、それとは別に「原」をモチーフにして工人の創意工夫で「原」をアレンジしたものをお願いすることもある。これは誰にでもという訳ではないが、大弘さんは前回の庸吉の時にも面白いものを作ってくれたので、今回もお願いすることにした。一つは、民之助の「目」を変えて貰うこと。民之助のこけしには一般的な一側目の他に、一筆目や二側目もあるので、それを描いて貰った。もう1つは胴模様を自由に描いて貰うこと(自由型)。今夜は、そうして作られた民之助自由型を紹介しよう。口絵写真は、自由型をやや上方から見た表情である。
こちらが、「目」を変えて作って貰った民之助型。左から二側目、一側目、一筆目。木地形態、胴模様は写しと同じであるが、面描では前髪なども「原」とは変えてある。いずれも違和感は無く大弘さんの力量が感じられ、面白いものが出来上がったと思う。
こちらは、胴模様を自由に変えて作って貰ったもの。前回の庸吉型(第401夜)の時にはかなりバラエティに富んだものが作られたが、今回の民之助ではそういった自由なイメージを描くのが難しく、結局伝統的な模様3種になったとのこと。左右の胴模様は2本ずつ同じ模様になっているが、この2本は表情に違いがあるので、それを以下に説明しよう。
この2本の表情を見て頂きたい。右は「原」そのままの写し、左は「原」を元にした自由型。ここでは顔点の入れ方に注意をしたということである。右の写しでは左右の眼点が多少ズレて(これを大弘さんは「眼点の揺れ」と表現している)おり、視線も真正面ではない。一方、左の自由型では左右の眼点はきっちりと同じに描いていて視線は真正面を向いている。そのため、写しでは「原」同様に味わいのある表情になっているのに対し、自由型ではクリクリっとしたリスのような愛らしさの表情になっているのである。眼点の描き方によるちょっとした違いなのだが、表情の違いは明らかでそこに目を付けた大弘さんのセンスに感服である。こけしは実に奥深いものである…。
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