第447夜:雰囲気の異なるこけし(遊佐福寿)
先日ヤフオクを見ていたら、「おっ!」と目を引いたこけしがあった。一瞬誰のこけしかなと思ったが遊佐福寿のこけしであった。福寿さんのこけしは我が国恵志堂コレクションの原点、全てとは言わないもののその殆どは見てきたと思っていた。伝統こけしの工人は、自分が引き継いできたこけしを長いこと作っている訳だが、自分なりに色々と考えたり収集家などから言われたりして、木地形態や描彩をちょっと変えてみることは間々あるようだ。福寿さんは常日頃そのような姿勢でこけし作りに励んでおり、本作もそんな思いから出来上がったものなのだろう。今夜はそんな福寿こけしを紹介したい。口絵写真は、その表情をやや斜め上から見たものである。
こちらがそのこけしである。大きさは6寸。盛が昭和初期に作った平頭で肩の張った型(国恵は盛古型と呼んでいる)である。この型は昭和52年から作られるのだが、角肩以外は形・描彩とも変化がある。本作は胴模様が楓で、目が一筆目である。
同型のこけしと比べてみよう。左は昭和55年4月作。本作(右)はこれと木地形態・描彩ともほぼ同じであるが、平頭が顕著であり、また眉・目・鼻・口が上方に寄って精悍な表情となっている。同じ型のこけしであっても、それから受ける印象はかなり異なるものである。
同様の例をもう一点挙げてみる。福寿さんの普通型のこけしである。左は一筆目の本作と同時に入手したもので同時期のものと思われる。鬢も含めて面描が上に寄っている。右は同型のこけしで昭和59年4月の作。一筆目ほど顕著ではないが、同様の差異がみられる。
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