第461夜:奥瀬一家の古作挑戦(2)
東京では新感染者が34名となり「東京アラート」が発せられることになった。レインボーブリッジが真っ赤になって都民に注意を促すとのこと。コロナの終息への道は遠いようだ。さて、昨夜に引き続いて、奥瀬一家が盛秀太郎の古作(大正期のこけし)の復元に挑んだ軌跡を見てみよう。「原」こけしは昨夜と同じく「こけし這子の話」に掲載されている盛秀こけしで、大きさは7寸4分、顔はクジラ目で鬼気迫る表情と胴に大きく描かれた「円盤から4本の足が出ているような、所謂『亀模様(4足亀)』」が特徴的なこけしである。口絵写真は陽子さんの亀こけしの表情である。
こちらが奥瀬一家の復元作。左から鉄則作5寸9分。「60.2.11」の書き込みがある。「原」こけしは胴が太くずんぐりとした形態であるが、鉄則さんは自分流にスマートな形に仕上げている。眼点をクジラ目状の上瞼の上側に描いて強い表情になっているが、「原」の迫力には及ばない。この辺りは時代の差なのかも知れない。また「原」での確認は出来ないが、頬には薄いピンクの頬紅が大きく塗られている。次は陽子作6寸。「17.2.4」の書き込みがある。太目で胴中央部の括れが少なく、「原」の形態に近くなっている。但し、鉄則作では胴のロクロ線の配色は「原」と同じであったが、この陽子作ではそれとは異なった配色になっている。表情は鉄則作を踏襲しているが、頬紅は小さく可愛い。次は恵介作7寸。NO.161、「03.7.12」の記入がある。全体の木地形態、胴のロクロ線の配色など左の鉄則作に倣っている。面描は鉄則・陽子作よりは優しく、淡い頬紅ともども若々しい作品に仕上がっている。右端も恵介作で「原」と同じ7寸5分。「09 2/8」の記載がある。形態的には「原」に合わせて頭を小さくしているが、胴はそれほど太くはなっていない。肩口の唐草模様や胴のロクロ線も「原」を意識して左の作とは変えている。右目上瞼の瞼尻がクジラ目状になっていないのも「原」に倣っているが表情は異なる。また、頬紅も付けられていない。
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