第463夜:正一のえじこ
今日から7月が始まった。オリンピックイアーと呼ばれた2020年が、こんな形で半ばを迎えるとは誰が想像したであろうか。一か月余りに及ぶ自粛期間を終え、徐々に各種制約の解除が進んでいるが、まだまだ感染者0には程遠い状況が続いている。そんな中、コロナとは直接関係ないであろうが、5月末からのほぼ一か月間で4名の工人(新山学、小林定雄、今泉房雄、高橋正吾)が黄泉の世界に旅立たれて行った。戦後の第二次こけしブームを支えた方々である。時の移り変わりは静かにそして確実に進んでいるのであろう。さて、先日、ヤフオクで佐藤正一のえじこを入手したので、今夜はその紹介をしたい。口絵写真は斜め上からの全体像である。
こちらが、そのえじこである。大きさは、径7.5cm、高さ8cmである。昭和34年2月1日、53才の署名がある。このえじこに惹かれた最大の理由は保存の良さ、特に全く退色の無い色彩の鮮やかさである。太治郎型で特に紫の波線が入った本型は保存の良さが身上。本品は正にその条件に合致したものであった。
同時期のこけし(8寸5分)と並べてみた。この時期(昭和30年代中頃)の正一は目尻が大きく下がり、にやけたような品の無い表情であまり頂けないのであるが、このえじこは、顔が小さいせいもあって目尻の下がりも目立たず、却って玩具っぽい雰囲気になっていて好ましい。
同時期の弘道えじこ(左)と並べてみた。弘道としては評価の高い昭和34年7月の作で、流石に「弘道の微笑み」は健在である。しかし、保存が良くないのと胴模様が紫波線ではなく井桁を散らした模様になっているため迫力に欠けるのが残念である。こけし(えじこも)は表情が一番だが、胴模様も含めた全体の調和も大事であることを改めて思い知らされる2品である。
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