<閑話>夜の爪切り
世界最多の新型コロナ感染者を出している米国でようやくMLBが始まった。日本人3選手(大谷、筒香、秋山)は初戦から皆安打を放ち、特に筒香は2ラン、秋山はタイムリーを打って華々しくMLBデビューを飾った。さて、我が家は朝日新聞を通読しているのだが、土曜日には12頁の別刷りが付く。昼食のパンを口に運びながら頁を捲っていると、小池真理子氏の「月夜の森の梟」というエッセイに目が留まった。内容は「夜、爪を切ると大切な人の死に目に会えない」という言い伝えの話。小池氏は父が無宗教者、母は自然崇拝者、夫は無宗教だったが縁起担ぎがあって爪切りは必ず昼間に行っていた。ところが小池氏は縁起を気にせず、爪は決まって夜に切っていたとのこと。その結果、小池氏は父母そして夫の死に目には会えなかったと綴っている。もちろん、それを後悔している訳ではなく、冬の朝の明るい光の中で亡くなった夫のことに想いを寄せながら、やはり夜になって爪を切っていると結んでいる。このエッセイを読んで、自らのことに想いを巡らすと、そう言えばまだ小学校の頃であったろうか、自分もそんな「夜の爪切り」の話を祖父か両親かはたまた親類や近所の年配者からか度々聞いていた気がする。今は全く気にしない気質になっているが、小さい頃には結構気にしていた事を思いだす。そして思い返せば、同居していた祖父を始め、若くして亡くなった母、そして父、更には親類の方々の臨終の席には一度も立ち会っていないことに気付いたのである。小池真理子氏も筆者も、昔からの言い伝えの呪力からは解き放されてはいなかったのであった。
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