第477夜:何とも気になるこけし
9月になって一週間が過ぎ、新型コロナの新規感染者は徐々にではあるが減少してるようだ。そんな中、台風が2週連続で九州を襲っている。今回の台風10号は超大型で特に要注意となっていたが、事前の準備が効いたせいか被害は最小限に抑えられたようだ。さて、コロナ禍の中、最近こけし収集はヤフオクが中心になっており、その出品を見ることは多い。第2次こけしブームの頃に入手困難だったこけしが、当時に比べると何とも安価に入手できるのは嬉しいものの複雑な感じになることも多い。そんな中、ヤフオクを見ていると何とも気になるこけしに出会うこともある。今夜紹介するこけしもそんな1本。一目で勘治型のこけしであることは分かるが、醸し出す雰囲気はちょっと異なる。今夜は、そのこけしを味わってみよう。口絵写真はその表情である。
こちらがそのこけしである。大きさは6寸8分。一見、誰のこけしか分からず、署名を見ると柿澤是隆さんであった。腕達者の是隆さんの作品にしては何とも心もとないような描彩に興味を覚える。勘治型は「高勘」の至宝として、盛雄さん存命中は血縁の工人にしか製作が許されなかった。是隆さんや滝嶋茂さんは作ることが出来なかったのである。そうは言っても工人にしてみれば作りたい気はあり、しかも収集家からの要望もあった。そんな状況の中で作られた勘治型なのであろう。流石に「原」と同じように作るのは躊躇され、勘治風ということでこのように作ったのであろう。吊り上がり気味のクリッとした目は小さいながらも自己主張が感じられ、生意気顔に見える。生意気顔は小寸こけしに似合う顔で、この大きさなら生きてくる。細く弱々しい角髪、二輪の正面菊も手慣れてはいない。しかし、そこが生意気顔によく合っている。
左のこけしは是隆さんの初作と書かれた勘治型(昭和55年)である。こちらはもう完全に勘治型になっている。眼点の小さな二重瞼は本作(右)と共通するところがある。
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