第482夜:ワンコインのこけし(哲郎)
新型コロナの感染は相変わらず高止まりで推移しており油断は出来ない状態が続いている。Gotoキャンペーンにより相当安価に旅行や飲食が楽しめると分かっていても、高齢故に指をくわえて見ているだけなのは残念この上なしである。さて、時間に任せてヤフオクを覗いていると、ワンコイン以下で出品されているこけしが散見される。中には「おっ!」と思うようなものもあるが、殆ど応札が無いままに終了を迎えるものも多い。最近はそういう掘り出し物を殆ど出品価そのままで落札することも多い。今夜はつい先日入手した佐藤哲郎のこけしを紹介しよう。口絵写真はその表情である。
こちらがそのこけしである。大きさは8寸で、同時に作られたと思われるものが2本セットで出品されていた。2本セットでワンコインの最低価で出品され、無競争で落札となった。保存は完璧で今出来の状態である。並べて見比べると、表情にやや違いがあることが分る。眉・目の描線はいずれも鋭く切れ長で眉にはアクセントも見られる。左作は眼点が中央に寄って気品のある表情。一方、右作は目尻がやや下がり、眼点も離れたためがやや砕けた笑顔にも見える。紅口がちょっと大きいにも影響しているのかも知れない。いずれも破綻のない秀作である。
手持ちの吉弥のこけし(第293夜)と並べてみた。吉弥は戦後のピーク期と言われる時期の作である。右の哲郎作が左のような吉弥のこけしを写したものであることは一目瞭然である。この2作の比較であれば、哲郎作の方が完成度は高いと言えるだろう。哲郎こけしとしても第一級の作である。しかし、ワンコインの出品に応札が無かったように、人気が無い。吉弥のこけしは辛口であり、玄人筋の蒐集家の評価は高いが一般的に人気と言うと今一つである。それを継いだ哲郎のこけしもまた、その割を食っているのは何とも気の毒である。このようなこけしに注目してくれる愛好家が増えることを祈って止まない。
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