第491夜:忠こけしの新種発見!
昨夜、コロナ感染拡大で大阪の通天閣と太陽の塔が赤く染まった! 全国の新規感染者数が2000人を超える状況の中、大阪は特に重症感染者の数が深刻なのだろう。師走に入ってからの自粛要請は多くの人にとってその影響は計り知れなく苦渋の選択なのであろう。そんな中、高齢者の国恵はひたすらヤフオクを眺める日々が続く…。先日のヤフオクに鳴子の秋山忠のこけしが出ていた。顔は完全に忠なのだが、胴が太く、そこに描かれている模様は初めてみるもの。忠好きの国恵には見逃せないこけしであった。その忠こけしが早くも届いたので紹介したい。口絵写真は、その表情である。
こちらが、そのこけしである。大きさは9寸6分。胴太く、無彩の肩の山は高い。胴に合わせるかのように頭も大きく、三等身のボリューム感溢れるこけしである。胴上下に細めの鉋溝が入り、ロクロ線は赤のみ。ロクロ線の無い肩の山共々、岩蔵系の胴の様式であることが分る。胴模様も、小さい菊花を散らして茎葉を添えた写実的な菊模様であり、これも岩蔵系の様式となっている。忠は木地を岩蔵に習っており、その縁から岩蔵型のこけしを作ったものと思われるが、おそらく収集家からの要望があったのであろう。流石に忠らしく卒なく上手く纏めている。
頭頂部の水引の描法を見てみよう。右が通常の忠こけしで左が今回のこけし。こちらも岩蔵系の水引になっている。面描は通常の忠こけしと同様であるが、忠の本型には見られない鬢飾りが赤一筆で付けられているのも岩蔵系ならでは。
ところで、胴底に目をやると、一面に白い塗料が塗られている(左)。胴底は本来なら右のような状態になっていたはずである。また、肩の山の部分との境目や鉋溝の中にも白い塗料の痕跡が残っているが、これは何なのであろか?
大寸の忠こけしを3本並べてみた。頭が大きく、面描は同様であり、昭和15年前後(右は13年頃)の作と思われる。表情はほぼ同じであるが、胴模様は右から、忠本型、竹雄風、岩蔵風と三者三様であり、忠が多様な胴模様を描いていたことが分る。やや下目の愛らしいこけしであり、三姉妹を思わせるこけしである。
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「白い塗料」は、こけしシリコンワックスの残りではないかと思います。
投稿: | 2020年12月 6日 (日) 02時24分
コメントありがとうございます。
シリコンワックスが変質して白く残ったのですかね。
胴底まで塗ったのはちょっと驚きです…
投稿: 国恵 | 2020年12月 7日 (月) 18時12分