第494夜:昭二の初期作(戦前)
2020年も最後の週を迎えた。東京では、新型コロナの新規感染者が千人超え目前に迫っている。しかし、毎日のように新規感染者数が過去最高を記録しているとマンネリ化してくるのも否定できない。我々高齢者は、リスクを避けて家に籠り、家族以外とは殆ど会わないでいるのが一番の対策であろう。12月に入ってから、ヤフオクでは鳴子の古品が時々出てきており、それを丹念に集めてきたの、今年最後の紹介としたい。今夜は、鳴子系の桜井昭二である。昭二は名前の通り昭和2年の生れ。昭和生まれの工人で戦前のこけしが残っている稀有な工人でもある。その後の髙橋正吾、遊佐福寿、大沼秀雄の世代となると戦前作は作られていない。口絵写真はその戦前作の表情である。
こちらが、そのこけしである。大きさは9寸7分である。胴底には本人の署名と鉛筆書きで「昭15」と「寺方」の書き込みがある。寺方氏の旧蔵品で昭和15年のものと言うことであろうか。Kokeshi wikiには昭二さんに戦前作として、昭和16年と17年の作が掲載されており、本作は昭二作としは最も初期のものの一つということが出来る。昭和15年と言えば、年齢的には14歳頃、10代の中頃にして既にここまで完成度の高いこけしを作っていたことに驚かされる。こけしの型は、父万之丞譲りの型である。wikiの17年頃の作と比べてみると、胴模様の菊花が小振りで筆の勢いにおとなしさを感じるが、緑の茎は太く力強い面も出ている。面描では、左右の目の位置に不揃いがあり筆致にぎこちなさも感じられるが、表情のあどけなさ、愛らしさは格別である。昭二は、その後岩蔵型を中心に永吉型など様々な型を作るようになるが、本作はその片鱗を伺わせるに足るこけしと言って良いであろう。
こちらは、胴底の署名と頭頂部の写真である。
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