第493夜:精助のこけし(ペッケ)
東京のコロナ感染者が800人を超え、益々増加の傾向を示す中、空からは一気に大量の雪が落ちてきて、関越道では1000台を超える車が雪の中に閉じ込められてしまった。正月まで残り2週間を切ったが、厳しい状況が続く中で年越しを迎えそうである。さて、昨夜に続いて精助こけしの紹介である。こちらは半年ほど前に入手した小寸のペッケ型である。精助のペッケについては第118夜で昭和14年作を紹介しており今夜のペッケで2本目となるが、前回作と比較しながら紹介しようと思う。口絵写真はその表情である。
こちらが、そのペッケである。大きさは5寸7分。胴底には、昭和15年との墨書きがある。丸い頭に、作り付けで肩のこけた胴がなだらかに広がりながら裾まで続いている。頭頂部のロクロ線は、中心部を大き目な赤丸で塗りつぶし、その周りに緑と紫のロクロ線を引き、その外側に髪を描いている。額には中央に赤、その左右に緑の前髪飾りを付けている。下の尖った鬢には上に3筆の鬢飾り、後ろに耳状の飾りを付けている。眉目は描線が細いが鋭い表情である。小寸のためか撥鼻は小さく、赤2筆のおちょぼ口が可愛い。頬紅の位置は低い。胴のロクロ線は赤の太線を中心に、紫と緑の細線を配している。シンプルな形態・描彩であり、弥治郎系の典型的なペッケと言えるだろう。
第118夜のペッケ(右)と比べてみよう。右のペッケは大きさに比べて胴が太く、その迫力ある形態はずば抜けており、それと比べると本品は色彩も淡くおとなしいこけしに見える。
頭頂部を比べてみよう。右は赤と紫が目立ち、左は緑が加わって柔らかい印象を受ける。
最後に胴底である。本品の底に書かれている「セキ」は、当時、佐藤誠が七ヶ宿村で開業していた佐藤木工所関分工場のことであろう。
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