第499夜:栄治郎型の仲間入り(木村祐助)
昨日、東京都と近隣3県に緊急事態宣言が出た! ここ数日の新型コロナ新規感染者の増加は、もはや感染爆発を思わせ、宣言発出の遅れ感が否めないが、後悔しても始まらない。先ずは各人が罹らないように十分注意するしかないだろう。さて、今年初入手のこけしはやはりヤフオクの出物となった。第2次こけしブームの頃から、著名な古作はその系列の工人によって復元作が作られるということが多くなった。こけし界の大名物である蔵王系の岡崎栄治郎のこけしはその最右翼と言っても良いであろう。直系の能登屋のみならず、緑屋の斎藤源吉の系列でも作られている。今回の木村祐助も元を辿れば荒井金七から栄治郎に行く着くわけで、蔵王系の工人の多くは栄治郎型を作る資格があるのかも知れない。口絵写真は、木村祐助の栄治郎型の表情である。
こちらが、そのこけしである。大きさは7寸6分。「原」こけしは西田コレクションにある栄治郎の札幌時代の大作(尺3寸)と思われる。胴裏には「写栄治郎型 参の参 上山温泉 木村祐助作」と書かれている。製作時期は分からない。この記載の中の「参の参」とは何を意味するのであろうか。3本作った内の3番目ということであろうか、又は3種類の栄治郎型を作った内の3番目ということであろうか? 最も、祐助が本作以外の栄治郎型を作ったかどうかも分からない。また、本作も、「原」を見て作ったのか、他の工人の栄治郎型を見て作ったのか定かではないが、「写栄治郎型」とあることから、後者の可能性が高いのでないだろうか。
他の工人のこの手の栄治郎型と比べてみよう。左から岡崎昭一、本作、石沢寅雄、田中恵治である(幾雄作は第939夜を参照)。概ね同様な作品であるが、面描や胴模様の細部には違いも見られる。特に頭頂部は、左の昭一作のみ他とは異なっている。昭一の栄治郎型は、基本的には父直志を継いだものであり、この手の栄治郎型も幾雄と別個に作っていた。一方、他の3工人には幾雄作の影響があるのではないかと思われる。
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蔵王系は岡崎直志系しか興味が無かったのですが石沢角四郎のこけしを見て素朴な姿に魅了されました(石沢虎雄には?)今後色々蔵王系を見てみたいです
投稿: 雪割草 | 2021年1月29日 (金) 23時03分
雪割草さま
コメントありがとうございます。
蔵王系の工人も多士済々、それぞれ個性があって面白いですね!
楽しんで下さい。
投稿: 国恵 | 2021年1月30日 (土) 09時52分