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第504夜:「こけし事典」のこけし(大沼秀雄)

Hideoo_15sun_kao コロナ禍の中で外出も儘ならぬ中、ヤフオクに出品されるこけしを見る時間は十分にある。先日もヤフオクを眺めていると、大物こけしが何本か纏めて出品されているのがあった。通常、大物こけしは敬遠することが多いのだが、中にどこかで見たようなこけしが入っている出品があった。どうやらそれは鳴子の大沼秀雄さんの初期のこけしのようである。その鋭い視線と初期のこけしには珍しい車菊の模様が印象に残っていたのである。早速、文献を探してみると、「こけし事典」に同じようなこけしが載っていた。その写真と出品こけしを子細に比べてみると、どうも同じこけしに見える。出品こけしはどうやら「こけし事典」掲載の秀雄こけしの現品らしいということが想像された。ちょうど、秀雄さんのこけしを纏めている時でもあり、これは何としてもゲットしなければと入札に応じた。出品写真に載っている他の4本の大物こけしは特に注目されるようなものでもなく、そんなことからか、入札終了10分前まで、千円台の価格でオークションは進んでいた。最終的には強力な競争相手が現れて1桁上の相応な落札価とはなったが、何とか入手することができた。今夜はそのこけしを紹介したい。口絵写真はその表情である。

Hideoo_15sun_yafuoku

こちらが、ヤフオクの出品写真である。左から2本目が大沼秀雄さんのこけしであろうと目を付けた。出品こけしの大きさは34cm~46cmとあるので、秀雄こけしは45cm程ということになる。しかし「こけし事典」掲載の秀雄作(191)は1尺2寸2分(37cm)と書かれている。大きさが違うという事は別物という事になるが、胴模様の細部を比べてみると、どう見ても同一のものと思われ、入札に参加した。落札後届いた秀雄こけしの大きさは尺5寸、しかし描彩や汚れなどの細部を確認して同一物に間違いないと確信した。「こけし事典」記載の大きさが間違っているということになる。


Hideoo_15sun_2men

こちらが、そのこけしである大きさ尺5寸(45cm)の堂々たるこけしである。眼点が中央に寄った目力の強い表情から、昭和35年頃の作と思われる。秀雄さんの初期のこけしでは、胴模様は殆どが重ね菊でそれに楓が多少あるが、車菊は殆ど見ない。「美と系譜」掲載の8寸(33年作)と「こけし事典」掲載の本作の2本しか見たことがない。秀雄さんの話では、手本にした母みつをさんの作に車菊がなかったから当初は作らなかったとのこと。従って、この2本の車菊は特別に作ったのであろう。

Hideoo_15sun_hikaku

手持ちの竹雄こけし(右、尺2寸)と並べてみた。竹雄楷書体時代の代表作と言ってよいだろう。こう並べてみると、胴中央の車菊の大きさに違いはあるが、茎や葉などの配置も含めて構成はほぼ同じであり、本作は右のような車菊の竹雄こけしを手本にして作ったものと思われる。しかし、殆ど描いていないと思われる車菊の模様もしっかりしており、端正な表情ともども非常の完成度の高いこけしに仕上がっており、秀雄初期こけしの傑作と言って良いだろう。どういう経緯で、今回のヤフオクに出品されたかは定かではないが、とても良い状態で保存されていたことに感謝したい。

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