第506夜:初期こけしの追及(岡崎幾雄)
特に関心を持っている工人のこけしに関しては、その変化・推移を追求していくことが多い。その一つの目標は最初期のこけしの追及であろう。戦後にこけし作りを始めた工人でも、その始まりが昭和20年代まで遡るケースでは残っているこけしも多くは無く、かなりの努力も必要となる。さて、岡崎幾雄さんのこけしに関しては栄治郎型を始めた昭和31年以前のこけしを「こけし 美と系譜」などを参考にしながら入手に努め、昭和28年まで遡って、第476夜で紹介した。先日、ヤフオクにそれより古い昭和26年というこけしが出品されたので、追及を更に進めるために入手した。今夜は、そのこけしを紹介したい。口絵写真は、その表情である。
こちらが、そのこけしである。大きさは7寸8分、胴は上部が向かって左にやや曲がっている。胴底に工人の署名は無く、「45.7.24 幾雄氏確認す 26年頃作」との書き込みがある。胴は太目であるが、頭は丸くて小さい。kokeshi wikiには、幾雄さんの昭和24年の作が載っているが、それも頭は丸く小さい。湾曲の大きな目ともども、これは師事した岡崎直志の影響であろうか…。しかし岡崎家のこけしとしてはしっかりしたものになっている。
幾雄さんの初期のこけしを並べてみた。左から本作(昭和26年)、28年、29年、34年である。こうして見てみると、28年頃からは、頭も角張って祖父栄作の型になっているのが分かる。しかし、胴だけを見てみれば26年の時点で既に完成されており、重ね菊の描彩も含めてそれから殆ど変わっていないのが分かる。
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木地は小野川の直志工場のものですね♪
投稿: しょ~じ | 2021年2月23日 (火) 14時22分
しょ~じ様
貴重なコメント、ありがとうございます。
小野川のこけしが無くなって久しいですねぇ…
寂しい限りです。
投稿: 国恵 | 2021年2月23日 (火) 18時57分