第508夜:初期の伊太郎型(小島俊幸)
昨夜の続きで、今夜は小島俊幸さんの伊太郎型である。昨夜の紹介にあるように、こちらも胴底に「43.6.10作」の書き込みがある。この時期に小島さんが阿保さんと一緒に作っていた伊太郎型が2種類あることは昨夜述べたが、本作は阿保さんの伊太郎型とは別の伊太郎型である。口絵写真は、その初期伊太郎型の表情である。
こちらに2本の伊太郎型を並べてみた。左が小島さんの伊太郎型こけしで、右は同型の阿保さんの伊太郎型である。大きさは6寸である。「こけし鑑賞」掲載の3本の伊太郎こけしの内、左のこけしが「原」ではないかと思われる。昨夜の伊太郎型と比べると、頭が縦に長くなって、その分胴が短くなり、裾にかけてやや太くなっている。右の阿保作は、胴上下に赤と紫の太いロクロ線が交互に入りkokeshi wiki掲載の作例の近い。本作では昨夜の阿保作と同様に、胴のロクロ線は紫のみになっている。顔は眉と目がやや離れて眼点が小さく、はにかんだような笑みを浮かべた独特の雰囲気を持ったこけしになっている。右の阿保作では、眼点が大きくやんちゃな幼子の顔になっている。本作のような雰囲気のこけしは意図して作られたものとは考え難く、極一時的なもので、小島さんの作でもその後は右の阿保さんのようなこけしに変わっていくのは自然の流れなのであろう。
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