第515夜:豆こけしの玉手箱
ちょうど一週間前の日曜日、例によってヤフオクを眺めていると、豆こけしが纏めて出品されているのに気が付いた。締め切りまで残り6時間程で、価格は既に5桁になっていた。価格からしてそれなりのものと思って出品写真を詳しく見てみた。出品者写真に載っている豆こけしの本数は50本を超え、新型のようなものも数本あったが、その多くは戦前の袖珍こけしと思われるものである。そこで、袖珍こけしの解説が載っている「木の花」(第7号~11号)、また全作のカラー写真が載っている「古作こけし名品録」(カメイ美術館発行)と比べてみた。袖珍こけしには胴底に番号の印が押されている他、模様変わりや番外品もあるらしい。そして、出品作の中には「木の花」解説者の中屋惣瞬氏をして袖珍こけしの白眉・双璧と言わしめた佐久間粂松と虎吉、また屈指の佳作とされた小椋石蔵も入っているではないか…。入手したい気持ちが高まったのは言うまでもない。昨今のヤフオクの流れの如く、終了1時間前辺りから応札者が増え、価格も上がっていった。最終的にはマッチレースとなり粘り勝ちで落札に至った。それらの豆こけしを順次紹介していきたいと思う。今夜は、袖珍こけし6本である。口絵写真は、新山佐内の袖珍こけしである。
こちらが、ヤフオクでの出品写真。こけしが小さいためと状態が良いために、戦前品かどうかはこの写真だけでは分かり難い。出品写真にはこのほか数本ずつの拡大写真もあり、それで個々のこけしを判断することになる。胴底には、地名と思しき名前が鉛筆で書かれている。
その結果、胴底に番号印が押された袖珍こけしは12本あった。袖珍こけしは昭和16年から18年かけて、東京こけし会が頒布した大きさ1寸6分(約5cm)の小こけし群のことで、100工人を頒布する計画であったが、戦争のため80工人で終わっている。
番号が若い順から6本を並べてみた。
左から、(43)岡崎久太郎<小の川>、(49)新山佐内<助川>、(50)味田みよ<米沢>、(51)山本与右衛門<一ノ関>嵌め込みで頭が回る、(53)白畑幸作<酒田>「木の花」は胴裾が窄まって菖蒲模様、(55)小椋啓太郎<?> <>内は書き込みである。
横から見たところと胴底である。
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