第509夜:正吾さんからの便り(大滝武寛)
高橋正吾さんの追悼として作った写真集「正吾のこけし(追悼)」は、先月中旬までで依頼のあった約70冊を配布し終わり、多くの方々に喜んで頂けたと思っている。その先月末に、何と大滝武寛のこけしがヤフオクに現れたのである。それまで殆ど知らなかった武寛のこけしに興味を持ったのは正吾さんのお陰であり、正吾さんによって武寛こけしを再現することが出来、本ブログによって多くのこけし愛好家の皆さんにも知って頂くことが出来たと思っている。正吾さんに最後に作って貰ったこけしは一昨年末の武寛大寸写しであった。そんなことを考えていると、今回ヤフオクに出てきた武寛こけしは、正吾さんが「正吾のこけし(追悼)」を作ったお礼として、武寛こけしに姿を変えて現れたのではないかと思わずにはいられなかった。今夜はその武寛こけしを紹介しよう。口絵写真は、その表情である。
こちらが、そのこけしである。大きさは7寸。肩に角張った段のある形態は純然たる鳴子こけしである。胴裏の署名のほか、胴底には「鶴岡こけし」の印が押してある。これまで紹介した下記3本のこけしは丸肩であったので、鳴子系より蔵王系のような雰囲気があったが、今回は鳴子として見ることができる。胴の模様はお決まりの楓が一葉大きく描かれている。そして何とも愛らしい表情。クリッとした瞳はケレン味が無く、純真にこちらを見つめている。眉と目の間が開き、目は鬢の下辺近くに描かれている。「高亀」の目も下目であり、その辺りの雰囲気は似ていると言えよう。鼻の横に付いた小さい黒点が鼻ホクロのようで微笑ましい。
仲間の3人と一緒に並んで貰った。小寸から大寸迄、色々な大きさの武寛こけしが揃った。同じように見えても、雰囲気は1本ずつ異なる。こけしは1本だけでも勿論良いが、このように何本かを集めて眺めるのはより楽しいことである。
胴裏の署名である。いずれも「出羽鶴岡住 大滝武寛作」と書かれている。この4本が作られた時期はそう変わらないのであろう。
武寛こけしを観察する正吾さん(令和元年12月19日)。正吾さんとの最後の写真である。もはや、正吾さんに見て貰うことが出来なくなってしまった現実に、ただただ寂しさが募るのみである。
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