第513夜:裕介さんの精助写し(大)
今年も白石での全日本こけしコンクールの中止が発表されたが、お膝元の宮城県では新型コロナの新規感染者が100名を超え厳しい状況が続いている。さて、昨年末に入手した精助こけしの写しを、いわき市の佐藤裕介さんにお願いしていたが、それが出来上がったので紹介したい。裕介さんには、以前、大野栄治と精助の写しを作って貰っており、その力量は確認済み。写しをお願いする場合、工人さんによっては年単位の日数を要する場合もあったりするが、裕介さんの場合、最初にどのくらいの日数で作れるかを言ってくれるので安心できる。今回も、コロナ禍で2月には大きな地震があったにも拘わらず、3か月ほどで大小2種の精助の写しを作ってくれた。今夜は、その内の大きい方のこけしである。口絵写真はその表情である。
出来上がったこけしと「原」こけし(左)を並べてみた。「原」こけしは第492夜で紹介したもので、大きさは尺である。御覧のように裕介さんの写しは木地形態・描彩とも「原」の雰囲気を見事に再現し、本来そうであったであろう赤・黄・紫の色彩が鮮やかに蘇っている。こういう作品が出来上がってくると、「原」こけしを収集する楽しみも一段と高まってくるもので、こけし蒐集の醍醐味である。
こちらは表情である。精助のこけしは、辛口のこけし。その味わいをどう再現するかが一つの見どころでもあったが、切れ長の眉と上瞼に眼点の小さな精悍な表情が見事である。細い筆で丹念に描かれた頭部の髪と鬢も、同じように丁寧に描かれている。耳状の鬢飾りも細かい点まで忠実に写されている。
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