第525夜:2本の亀之進こけし
今日から5月に入った。緊急事態宣言下、いつものゴールデンウィークに比べたら各地の人出は圧倒的に少ないようだが、新型コロナの変異種感染拡大を防ぐにはまだまだ多いようだ。正月時のような大幅な減少に繋がるかどうかはもう少し日を待たないと分からない。ここのところヤフオクに状態の良い古品の出品が増えている。老齢ないしは亡くなった古コレクターの所蔵品なのであろうか…。そんな中から先日落札した大葉亀之進のこけしが届いた。戦後の泣きべそ顔の亀之進はいただけないが、戦前の古武士然とした辛口のこけしや反対に大らかな明るい表情のこけしは魅力的だ。口絵写真は、亀之進の表情である。
こちらが、今回入手のこけしである。大きさは9寸8分。昭和17年頃の作であろうか。胴の葉と襟の緑も良く残っており、ほんのりと塗られた大きな頬紅も表情を引き立てている。1尺の大きさに3つ重ねた大振りの重ね菊も豪快で好ましい。
この手の亀之進こけしは既に1本持っている(右、922夜)のだが、保存状態が良くないので今回入手した。そのこけしと並べてみた。同手のこけしで同じ時期に作ったものかと思っていたが、並べてみると木地の形態にやや違いが見られる。右のこけしは胴が直線的で裾にかけてやや反った感じになっている。一方、左のこけしの胴はやや膨らみ気味でふっくらした感じである。頭の形も右は角ばって横広気味だが、左はやや丸みを帯びて縦長気味である。面描や胴模様にも違いが見られ、それは同時期に作られたものの手作業によるバラツキ以上のものがあり、製作時期はややズレるのではないかと推測される。
こちらは胴底の書き込みである。「稲子 大葉作」という字体がよく似ているように見える。これが亀之進本人の署名なら似ていて当然なのだが、今回の出品解説には「底のサインは本人ではありません」で書かれている。とすると、この胴底の書き込みは誰が書いたのであろうか…? 亀之進のこけしを扱っていた業者が居て、その業者が書いたものなのか…? 偶然にも、この2本の旧保有者が同一人物で、その人が書いたものなのか…?
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