第527夜:直志の札幌時代栄治郎型
東京ほか4府県の緊急事態宣言は延長され、さらに北海道ほか2県の緊急事態宣言が新たに発出された。大阪はピークを超えた感もあるが、東京も高止まり状態が続き、全国的な拡大が懸念される。五輪の開会日が迫る中、厳しい状態が続き、あとはワクチンだけが頼みであるが、その予約も大混雑になっている。筆者のところにもようやく申込書が届き、本日、初の予約申し込みに挑戦したが接種対象会場は既に満杯であえなく敗退となった。さて、蔵王の栄治郎こけしと言えばこけし界の至宝であり、それを復元した栄治郎型も第二次こけしブームの頃には入手難のこけしであった。幾雄さんの師匠でもある岡崎直志も栄治郎型は相当数作っているが、胴に帯の入った大寸のこけしが中心であった。栄治郎は札幌に移ってからのこけしも知られており、それらの復元作も数は多くないが作られている。札幌時代の代表作は細胴と作り付のこげす型の3本組であるが、その他に小寸の地蔵型を大きくしたようなものも知られている。その復元作は息子の昭一作は良く見かけていたが、直志作は見たことがなかった。今回、その型のこけしがヤフオクに出たので入手した。口絵写真はその表情である。
こちらがそのこけしである。大きさは5寸。頭は作り付けではなく、差し込みのようである。「原」こけしはkokeshi wikiにも載って入る右のこけしであろう。胴に大きく描かれた牡丹模様が特徴であり、直志の復元作も大きく描かれている。胴底には署名の他に「50.10.12 本人 初作」とのペン書きがある。この型を初めて作ったということであろうか。直志は51年1月6日には亡くなっているので、その僅か3か月程前ということになる。牡丹の筆致に鋭さは見られず、草書体に近い筆になっている。
息子の昭一作(右)と並べてみた。昭一作は昭和56年5月であるが、胴の形態はほぼ同じであり、左の直志作の木地が昭一であることが分かる。昭一作の方は、明敏な筆使いで盛期の作であり、両者の牡丹模様の違いに感慨を覚える。50年10月の時点での直志の体調などは分からないが、その筆使いからは衰えが見られ、そんな中での新しい型に挑戦した木地屋魂に頭が下がる。
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