第529夜:気になった篤こけし
横浜では混迷するワクチン接種より関心の高かったアミメニシキヘビが遂に発見され、無事に捕獲された。筆者が借りている家庭農園から道を隔て目と鼻の先、やれやれと言った心境である。さて先日、ヤフオクに出ていたこけしの中に気になるこけしがあった。出品解説と胴底の署名から、それが弥治郎系の小倉篤のこけしであることが分かった。しかし、どうも良く見かける篤のこけしとは雰囲気が違う。かなり心惹かれるこけしなのである。そういう出品があった場合、締め切り前にkokeshi wikiなどを参照して素性などを調べるのだが、今回はそこまで詳しく調べずに、取り敢えず入手に走った。その後、wikiを調べて、それがどのようなものであるかが見えてきた。今夜はその篤のこけしを紹介しよう。口絵写真は、その表情である。
こちらがそのこけしである。大きさは6寸1分、大きめのペッケである。胴が太目なのと頭が横広の平頭であることが篤のこけしの中では異色なのである。wikiの篤の項を見て見ると、同じような雰囲気のこけしが見つかった。戦前(昭和15年)のこけしである。胴中ほどの括れ部に緑の帯を締め、胴は太目、あどけない表情は初々しい。3筆の半円の前髪飾りは真ん中が横に長く、鼻は縦1筆、小さな頬紅を付けている。本作も長い前髪飾りや縦1筆の鼻、鬢飾りの様式が同じであり、戦前作の復元と思われる。面描は筆が慣れて、より愛らしいものとなり、胸に赤と黒で襟を描いているのが異なる点である。
篤の同型のペッケ(右)と並べてみた。右こけしは昭和33年のもので頭は丸く、胴は括れ下が大きく、胸部は細く小さめである。半円の前髪飾りは1つで、その左右に4筆ずつ縦長の飾りが付いている。鼻は弥治郎特有の撥鼻である。本作は右より後の作と思われるが、良い出来に仕上がていると思う。
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