第532夜:昭寛さんの万之丞写し
普通なら美しい紫陽花を見に行きたい6月も第3週に入り、関東一体も梅雨に入った。いつの間にか東京五輪開催は当然のことのようになってきており、結果が見通せない五輪に向けてジェットコースターでまっしぐらに突き進んでいる。鳴子の桜井昭寛さんに万之丞とコウこけしの写しをお願いしたのは、コロナ禍など夢にも思わなかった時期であった。去年の暮れに昭寛さんと電話で話した折には、年が明けて4月頃にはという事であったが、先日こけしが出来たとの連絡があり、待望の作品が本日送られてきた。戦前の万之丞とコウのこけしを原寸と7寸に縮小した2種類で作って貰った。今夜はその内の万之丞写しを紹介したい。口絵写真は、その表情である。
こちらが、原作(左)と写し(右)である。「原」のこけしは、第937夜で紹介したこけしである。大きさは1尺、横広の大きな平頭に白木地のままの肩の山が清々しい万之丞自挽きの秀作である。昭寛さんの写しは、もう「お見事!」の一言に尽きる。木地形態から描彩まで、細部に渡って注意深く万之丞の古作を再現している。単に似ているというだけに留まらず、万之丞の戦前の雰囲気と味わいをも醸し出している。昭寛さんは父昭二さんから引き継いだ桜井家伝来の各種の型を巧みに作り分けているが、本作を見ていると戦後の名工と言われた昭二さんの域に達し、さらにその先に向かっているようにも思われる。
こちらは原寸と7寸である。縮小した7寸もまた見事な出来栄え!。小さい分、可愛らしさも伴って卓上で眺めるのにもってこいのこけしである。この万之丞は昭寛さんも気に入ってくれたようで、今後も胴模様を変えたりして継続的に作って行きたいとの事。楽しみなことである。
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