第533夜:昭寛さんのコウ写し
沖縄を除いて緊急事態宣言は解除されるようだが…。さて昨夜に続いて、昭寛さんに作って貰った桜井コウこけしの写しである。「原」であるコウこけしは、この千夜一夜では未だ紹介していなかった。それは、昨夜の万之丞を入手して一週間ほどで小寸(5寸4分)のコウこけしを入手し、それを第938夜に掲載していたからである。今夜のコウこけしはそれから二ヶ月ほどして入手したのだが、そのまま本ブログでは紹介しないままになっていた。先の万之丞と同様にヤフオクで入手したものであり、出品者も同じであったと思う。口絵写真は、コウ写しの表情である。
先ず、コウこけし(右)から紹介しておこう。大きさは9寸6分。万之丞こけし(左)より若干小さく胴も短く太目で、頭は更に大きくなっており、堂々たるこけしである。木地は万之丞あるいは息子の昭二かも知れない。コウこけしの大きな特徴は前髪の後ろに描かれる髷であり、本作でも立派な髷が付いている。鬢は6筆描きで万之丞の4筆より多く、その分幅も広い。鬢上の赤い飾りは無い。眉太く、眼点も大きく女性らしい表情である。第494夜で紹介した昭二の初期作は万之丞よりもコウの表情に近いようだ。胴には菊花を4つ描いて万之丞よりも華やかである。
さて、昭寛さんの写し(右)である。こちらもまた見事な出来栄え。万之丞は万之丞なりに、そしてコウはコウなりに「原」に忠実に描き分けているのが見て取れる。黒髪が多い髷も上手く纏めている。
こちらも、原寸のほか7寸も作って貰った。出来栄えは御覧の通り。筆者は「原」が尺以上の場合には、原寸の他に「7寸」でも作って貰うことが多いが、大寸物の風情を残しつつ小さくするにはちょうど良い大きさではないかと思う。
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