第537夜:英太郎(18歳)
日本の五輪メダル・ラッシュと競うように急拡大を続ける新型コロナウイルスに対して、国や地方自治体はもはや打つ手はないようだ。国民にひたすら自粛を求め、ワクチンの普及に望みを託している。五輪での日本選手の活躍にTVを始めマスコミの関心は完全にそちらに向いており、コロナに関する報道はめっきり少なくなってしまった。さて、筆者のこけし活動もヤフオクに頼る所が大きくなっている。そんな中で、先日、佐藤英太郎の18歳作と言う保存完璧のこけしが出品され、獲得に走ってしまった。今夜は、そのこけしを紹介しよう。口絵写真は18歳英太郎の表情である。
こちらが、そのこけしである。大きさは6寸。退色は全く見られず、保存状態は頗る良い。英太郎のこけしと言えば19歳作が評価が高く、コレクター垂涎の的となっている。英太郎は父秀一が若くして戦死したため、昭和31年17歳より佐藤護について木地修業を始めた。こけしは17歳の時に作ったものが初作とされており、写真集「佐藤英太郎の世界」には、「17才初作写」のこけしが数種類載っている。その17歳作の現物を見たことはないが、18歳作はこれまでに何回か見る機会はあったが、入手には至らなかった。英太郎は22歳の秋(昭和36年)に転業してしまったため、17歳から22歳までが第一期ということになる。本作、木地形態は遠刈田系こけしの標準的なもので、こけし作りを始めて1年程でも特に問題はない。直助のこけしをお手本にした描彩に関しても一定の水準には達している。面描では、右目尻が下がっていて手慣れた感じではないが、それが却って初期の作らしいぎこちなさとあどけなさを醸し出していて好ましい。
この第一期の作を並べてみた。この第一期はこけしの胴底に署名と年齢を記入しているので製作時期が確認できて助かる。左から、本作6寸(18歳)、1尺(19歳)、6寸(20歳)、8寸(20歳)である。第一期の中でも20歳まで辺りに優作が多く、以降は出来にバラツキがあるようだ。
頭頂部の手絡である。19歳以降では中央のくねった線の末端から左右に丸く赤線が伸びるのだが、今回の18歳作ではそれは無く、遠刈田系の基本の様式になっている。
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