第540夜:三春さんの近作(石蔵写し2)
当地横浜でも新型コロナ新規感染者が1日千人を超えた。1都市の感染者数としては最多かも知れない。筆者もかなり危険なところに住んでいる訳だが、2回のワクチン接種が完了していることが安心材料ではある。さて、昨夜に続いて三春さんに作って貰った石蔵写しの紹介である。こちらは昨夜の鹿間石蔵のような著名なこけしではなく、文献等で紹介されたものでもない山野に埋もれていたものである。3年程前のヤフオクにひょっこり現れ、円らな瞳と胴模様のねっとり感の対比が面白く入手して、そのままになっていたものである。口絵写真は、その石蔵の表情である。
こちらが「原」こけし(左)と三春さんの写し(右)である。大きさは6寸。胴底には「小椋石蔵」の焼き印と「昭和十五・七・十四」の書き込みがある。「原」は全体的にかなり黒ずんでいるが、材は軽く朴木の地色のようである。やや撫で肩でスマートな形態の着物模様のこけしである。黒い襟は太く、胴中程よりやや上に絞められた帯も黒で太い。帯は何筆かで重ね描きされており、中の着物の赤い模様が間から覗いている。帯の上、襟横には赤を中心とした縦縞が引かれ黒の3点小紋模様も添えられている。帯の下は、赤5筆の大きめな花模様と黒の大きな3点模様、その間を緑の点状模様が埋めている。上部の重厚でこってりとした模様に対して、下部は軽やかで華やかな模様である。三春さんの写しは「原」を的確に写している。この手の石蔵の表情はもうお手の物である。胴模様は、木地が違うためか「原」のぼってりとした感じには至っていない。
横と後ろの描彩を見てみよう。中央部から下に垂れる着物の縦線の外側には赤と黒と緑の3点模様が描かれ、真後ろには大きな赤の3点模様を崩して4段に重ねている。これは表の模様の延長線上のもので、昨夜の鹿間石蔵の裏模様のように独立した模様ではない。
顔の表情を比べてみよう。「原」の石蔵は昨夜の石蔵とほぼ同じような幼女ながら品格のある表情。三春さんも同様だが、やや硬い表情になっているようだ…
石蔵の袖珍こけしも最近入手したので、一緒に写しを作って貰った。「原」は前髪と鬢が離れた形のこけしであるが、袖珍には前髪と鬢が繋がったものもあるようなので、両方を作ってもらった。
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