第545夜:佳樹さんの伊太郎型
一昨夜、NHK-BSで「ザ・プロファイラー」を見ていると、女優の草笛光子さんが出ていた。近々、88歳になるという草笛さんと言えば「老いは億劫との戦い」という言葉を思い出す。筆者もコロナ禍の中で70の大台を超えてから、つとにその言葉が身に染みるようになった。「億劫」には身体の具合が原因のものと気持ち(精神的なもの)が原因のもの、その両方が原因のものとがあるのだろうが、最終的には「やる気」を起こさせることが出来るかにかかってくる。本ブログの更新も、その「やる気」が起きるかどうかで、「まあ、明日でいいかー」という気持ちが勝ると、時間だけが過ぎ去っていく…。さて、気を取り直してブログを書こう。津軽の伊太郎型を調べていると、数少ない伊太郎こけしの殆どは8寸と3寸、それに5寸程のものが若干混じるようだ。その伊太郎の3寸を入手した(第213夜)ことから3寸の伊太郎型に特に興味を持った。佐藤善二の伊太郎型には3寸物があり、何本か手に入れている(第512夜)。今回、善二の息子佳樹の3寸伊太郎型がヤフオクに出ていた。佳樹の3寸伊太郎型は持っていなかったので応札したが、他に誰も関心を示さず出品価で落札できてしまった。今夜は、その佳樹の伊太郎型を紹介しよう。口絵写真は、その伊太郎型である。
こちらが、佳樹の伊太郎型である。大きさは3寸。善二作に見られるのと同様、胴裾が窄まった作り付のこけしである。伊太郎型は、胴模様がロクロ線だけなので、大きなものではあっさりし過ぎていて、若干物足りなさを感じるが、手の平に納まる3寸だと実にしっくりする。やや首長の感じがするが、これはこれで面白い。
善二の3寸伊太郎型(左2本)と比べてみた。善二作の方が、眉太く眼点も大きいので津軽らしい凄みが出ていて伊太郎の雰囲気に近い。一方の佳樹作は、目が左右に離れ、眼点も小さいために大らかで明るいこけしに仕上がっている。これも時代の差なのかも知れない。善二、佳樹とも親分肌で津軽系を纏めるのに恰好な人物だったので、若くして亡くなったのが惜しまれる。
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