第552夜:大沼昇治の孫持ち
11月28日の友の会例会で入手したこけしを個々に紹介しよう。久し振りの例会会場、その入札品コーナーに行くと大きくどっしりとしたこけしが目に入った。その形と描彩から、そのこけしが大沼昇治さんの梅こけしであることは直ぐに分かった。昇治さんの梅こけしは大好きなこけしの一つであり、もうかなりの本数も持っており、その中には今回の出品こけしと同手のものもあることから眺めているだけのつもりであった。ところが手に持ってみるとカタカタと音がするではないか…。そう、何と孫持ちのこけしだったのである。昇治さんのこけしは相当数を集めてきたが、入れ子のものは見たことがなかった。そうと分かると欲しくなり、入札に参加してゲットすることができた。今夜はそのこけしを紹介しよう。口絵写真は親こけしの表情である。
こちらがその昇治さんの入れ子のこけしである。親こけしは大きさが1尺1分、くびれ胴の堂々たるこけしである。胴底には「昭和61年7月28日」の書き込みがある。良く伸びた切れ長の三日月目が素晴らしい。花の数が多い満開の枝梅は円吉の後期の様式。胴一面に咲き誇る梅花が華やかである。
胴は下部の赤ロクロ線の部分で2つに分かれ、胴の太い部分が刳り抜かれていて、そこにずんぐりとしたこけしが入るようになっている。この子こけしは2寸。親こけしに比べると随分小さいこけしである。この子こけしも胴下部の赤ロクロ線の部分で2つに分かれ、中には1寸1分の豆こけしが収納されるようになっている。他に類例が無いような入れ子のこけしになっているのである。
中に入っている子こけしと孫こけし。材は何であろうか。軽めの有色材である。
胴内部の刳り抜き状態はこのような感じ。昇治さんが活躍していたのは、ちょうど第二次こけしブームの頃。こけしは作れば右から左に売れるような時代であった。ゆっくり細工物に取り組む余裕は無かったと思われる。
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