第561夜:盛秀の開き目こけし
令和4年の1月も今日で終わる。年明けの時点では新型コロナの感染者は少ない状態であり、希望に満ちた1年になるものと思っていた。その後のオミクロン株による感染者の爆発的な増加は周知の通り。ようやく専門家からもピークアウト等と言う言葉が語られるようになってきたが、まだまだ予断を許さない。このような状態の中、東京こけし友の会の新年例会は何とか開催されたが、基礎疾患のある筆者はリモートでの参加となった。実例会への参加者は27名ということであった。筆者はその翌日から腰痛に悩まされることになり、ほぼ一週間を費やしてしまった。そんなことで筆も進まず、このひと月で2回しか本ブログを更新できなかった。「更新の遅延、極まれり!」の状態である(苦笑)。1月の入手したこけしはヤフオクでの数本のみ。今夜はその中の1本、盛秀太郎のこけしを取り上げてみたい。口絵写真はその表情である。
こちらが今回のこけしである。大きさは6寸2分。昭和20年代のこけしである。昭和30年代以降の盛秀の代表的な睫毛こけしとは一線を画するこけしである。作り付けの丸頭に膨らんだ胸、胴が縊れて裾部が広がった形体はそれほど変わっていないが、胸の膨らみは円やかであり、後年のようなシャープさにはなっていない。温かみの感じられる木地、さらっと描いた胴のアイヌ文様と簡潔なボタン花などは時代を感じさせる。中でも一番の見どころは表情であろう。小さめで湾曲の大きな眉は眉尻が下がっておらず、やはり小振りの上瞼の下に丸い眼点を入れ、その下に小さな下瞼を添えている。この目の様式を「開き目」と言うようで、奥瀬家の工人に引き継がれている。「開き目」は表情が明るい笑顔なので筆者の好みである。
奥瀬鉄則さん(中)、陽子さん(右)の同手のこけしと並べてみた。
盛秀の同時期の別手のこけしと並べてみた。
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