第566夜:佐藤孝之助のこけし
北京冬季五輪が終わったもののパラリンピックはこれからという五輪期間中にも拘わらず、欧州で戦火が起こった。理不尽とも思われる理由で、ロシアがウクライナに攻め込んだのである。我々自由主義の国に住んでいる者にとっては、考えられないことである。今後の推移に注視しなければならない。さて、先日のヤフオクに佐藤孝之助のこけしが出品されていた。円吉の弟である孝之助は活動期間も短く、その残るこけしも多くは無いようで目にすることも滅多にない。筆者は、小寸の孝之助を持っているが、円吉系のこけしは好みであることもあって、入手した。今夜はそのこけしを紹介したい。口絵写真はその表情である。
佐藤孝之助は明治31年の生まれ、佐藤茂吉の二男である。円吉が長男で兄にあたる。12,3才頃より木地修業を始め、大正6年に結婚して遠刈田で木地業に従事した。昭和7年(35才)で分家、仙台で独立した。昭和8年に商工省工芸指導所に移り、亡くなるまで指導所の木地指導員を続けた。昭和17年10月、45歳の若さで逝去した。
こちらが今回入手のこけし。大きさは1尺2分。孝之助のこけしは、昭和14年に桜井玩具店で頒布したものが少数残っているようだ。Kokeshi wikiには「切れ長の三ヶ月目が涼しげで、爽やかな気品に富んだ作であった。兄円吉よりも筆は伸びていた。胴は比較的細長く頭はやや角張っている。楷書体の丁寧な作風だった。」と特徴が記載されているが、本作は正にその通りのこけしである。
既所蔵の6寸孝之助(左)と並べてみた。6寸は小寸のためか頭がやや横広きみで三日月目の湾曲もそれ程大きくは無いが、本作では頭はやや縦長で目の湾曲も大きめである。
円吉のこけし(右)と並べてみた。円吉は頭が丸く、胴も太くてどっしりとした風格が漂っている。一方、孝之助は細身でスラっとしており若々しさが漂った魅力的なこけしである。円吉、孝之助のこけしは大沼昇治が引き継いで良いこけしを作っていたが、その後、後継者が無く途絶えているのは残念なことである。
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