第571夜:半澤工人の亥一型
東京近郊では桜は終わり新緑と色とりどりのツツジが目に眩い季節を迎えている。新型コロナの感染者数は高止まりが続いていたがようやく減少に向かい始めた感もある。一方でゴールデンウィークを控え、感染者数増加の危険も拭えない。先日のヤフオクに中の沢の氏家亥一型と思われるこけしが出品されており、価格的にはちょっと高いと思ったが、筆者は「こけし談叢」の亥一こけしの現物を所有していることから亥一型には興味を持っており、入手した。出品解説に大きさは記載されていなかったが、8寸か1尺と思っていたところ、実際には6寸であり拍子抜けであった。今夜はその亥一型こけしを紹介しよう。口絵写真はその表情である。
こけしの製作者は、半澤正則工人で最近こけしを作り始めたので若手の新人工人のように思われるが、年齢的には古希間近のベテランである。瀬谷幸治工人の2番弟子ということで、平成26年4月より弟子入りし、こけし界へのデビューは令和元年11月のみちのくこけしまつりへの出品とのことである。その後、精力的に中の沢こけしに取り組んでおり、名古屋こけし会での頒布でも活躍している。
こちらが、亥一型のこけしである。大きさは6寸。昨年の夏頃の作のようだ。一見して亥一型と分かる出来栄えのこけしであり、亥一型としては間もない作と考えられるが、その力量は評価に値するものである。亥一の写真や他の中の沢こけし工人の亥一型を参考にして作ったものと思われる。師匠の幸治工人も立派な亥一型を作っている(第201夜参照)が、それを真似たものではないようだ。
荒川洋一さんの亥一現物写し(左、7寸)と並べてみた。こうして見比べると、木地形体・描彩ともかなり違っていることが分かる。半澤作は頭頂部の蛇の目も緑が使われており、全体的に緑の色彩が強い。荒川作では緑は胴のロクロ線2本と下部の花模様の部分のみである。また半澤作では紫は使われていない。次に、原の亥一こけしではカセは二重で大きく鬢の後ろから3つ描かれているが、半澤作では二重の小さいカセが5つ描かれている。この辺りは写真ではなかなか分かりずらい部分であり仕方の無いところであろう。
表情を比べてみた。荒川作(原の写し)ではおっとりとして品格を感じさせる表情であるが、半澤作では目尻が上がって強い表情のこけしになっている。原との雰囲気の差はあるにしても、これはこれで迫力のある良い表情になっている。
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