第584夜:正吉ダルマの秘密…
大原(佐藤)正吉のこけしは好きなこけしの一つで、各年代のものを集めている。ひと月ほど前のヤフオクに、その正吉のダルマが出ていた。もちろん戦前の作ではないが、正吉のダルマは持ってなく、しかもその堂々たる風情に魅せられて入手した。競争相手は一人しかなく、出品価の千円に200円を足した価格で落札できた。送られてきたダルマは思ったよリも大きく、そのまま飾り台の上に乗せておいた。そのダルマの秘密に気付いたのは一昨日、ダルマを倒した時であった。今夜はその秘密を明かそう。口絵写真は正吉ダルマを斜め上から見たところである。
こちらが、その正吉ダルマである。大きさは径10cm、高さ12cmである。頭頂部は扁平で角張っており、胴は下部にかけてやや膨らんでいる。顔の描彩は全体の中央より上部に描かれており、下部は左右3筆ずつの丸い山形が黒で描かれている。太い眉と濃い髭が面描を囲み重厚な表情。眉下と白目には黄色が塗られているようだ。
こちらが胴底の署名である。「北海道 登別 正吉作」の署名の他に「42.11.10.直送」の鉛筆書きがある。昭和42年11月に登別の正吉から送ってもらったということであろうか。このダルマ、平らな頭を上にするか、頭を下にするかでしか座らない。横に倒すと直ぐに元に戻ってしまうのである。ちょっとでも横にすると物の見事に元に戻ってしまうのである。そう!、起き上がりこぼしになっているのである。普通のダルマは倒したら起き上がらない。起き上がりにするためには、胴の下部を重く、上部を軽くする必要があるとのこと。そのため、ダルマの胴を刳り抜いて、胴下部に重しを入れるらしい。
しかし、この正吉ダルマは胴を刳り抜いた形跡はない。但し、持ってみると上部が軽く、下部が重い。良く見ると胴中央に1本の線が見える。軽い木と重い木を真ん中で張り合わせてからダルマの型に挽いたようだ。木地技術に優れた正吉らしいダルマである。客の注文で作ったのか、正吉の遊び心で作ったのかは分からない…
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