第582夜:日の丸丹頂…(栄五郎)
2か月程前に栄五郎昭和初期の定寸良品を入手したが、今回それと近い時期の小寸(ペッケ)がヤフオクに出てきた。出品者は前回と異なるが、同じように保存の良い良品である。前回の8寸とペアで並べてみたく、またまた手を出すことになってしまった。小寸という事もあってか、前回作に比べて程よい価格での入手となった。並べた結果は想像通りのお似合いさん。保存の良い戦前こけしをペアで眺める至極の時間を味わうことができた。口絵写真は、頭頂部のベレー模様。
「愛蔵こけし図譜」で著者の武井武雄氏は栄五郎の昭和初期のこけし2本(大と小)を取り上げ、その頭頂部の赤い大きなベレー帽を称して『何といっても好もしい魅力はこの日の丸丹頂の諸作にあります。 』と述べている。そこから「日の丸丹頂」という形容が栄五郎こけしを語る上での重要なキーワードとなった。本稿のこけしは「愛蔵こけし図譜」の小こけしとほぼ同じで、この「日の丸丹頂」を描いている。
こちらがそのこけしである。大きさは5寸2分の作り付け。やや縦長の四角い頭にドテラを着たようなずんぐりとした胴を付けている。額に描いた赤い半円の飾りはぼってりとして好ましい。細いー筆の眉・目は顔の中央に寄っており、その下の鼻と口は消え入りそうに小さい。一方、鬢は細筆は重ねて大きく纏まっている。胴のロクロ模様は強弱を付けた赤線を中心にやや太めの紫線を上中下と3本配し、その間に緑の細線を入れている。首下の太い赤の襟が愛らしい。
前述の定寸こけし(左)と並べてみた。同じ昭和初期の作で退色が殆ど無いため、胴の赤・緑・紫の色調が見事に合って、これ以上無いほどにピッタリのペアとなった。大の頭頂部は白抜きの黒頭で、小は真っ赤な日に丸丹頂。素晴らしいの一言!
2本の頭頂部を比べてみた。
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