第587夜:弘道の微笑み(誕生2)
台風が去って久し振りの好天の中、10月を迎えてこけし関係のイベントも賑やかになってきた。さて、国恵志堂の主要蒐集こけしの1つである斎藤弘道のこけしは昭和31年頃から作られているが、評価の高い弘道こけしは昭和33年7月作がその始まりではないかということを第547夜に書いた。それと同時期の7月作の弘道太子型がヤフオクに出品され、頑張って入手したので改めて紹介したい。弘道の太子型は6寸に絞って集めているので、今回はその条件にも合致し、正に待っていたこけしが手に入ったという感じである。口絵写真はその表情である。
こちらがそのこけしである。大きさは6寸。正方形に近くやや角張った頭に裾の縊れた地蔵型のスッキリとした形態が美しい。ひと月前の6月作と比べて、その形態の進化は著しい。本人の努力は勿論のこと、外部からの応援もあったことだろう。
547夜のこけし(右)と並べてみた。同じ33年7月の作で、左は26日作、右は28日作と僅か2日違いである。しかし左の太子型には「太治郎孫」の署名があるのに、右には書かれていない。これ以降、ずっと書かれなくなったのかどうかは類例が無いので判然としない。この2本、表情は殆ど一緒であるが、大きさの違いもあってか、太子型は前髪の本数が少なく、鬢が太い点が右こけしとの違いである。
この時期の弘道こけしの変化を見てみよう。一か月前の作2本(左6月21日作、中央6月30日作)と並べてみた。形態(特に頭と太子型)と表情(特に目と鼻)の変化が大きいのが分かる。なお、左には「三代目太治郎」、中央には「太治郎孫」の署名がある。
« 第586夜:盛のこけし(昭和初期) | トップページ | 第588夜:力さんの大正期誓型2 »
「土湯系」カテゴリの記事
- 第738夜:友の会2月例会(R7)(2025.02.24)
- 第724夜:友の会11月例会(R6)(2024.11.30)
- 第720夜:友の会10月例会(R6)(2024.11.03)
- 第718夜:大寸の治助こけし(2024.10.07)
- 第715夜:太治郎か…?(祝! 大谷50-50達成!)(2024.09.20)
「全て」カテゴリの記事
- 第746夜:日中線跡の枝垂れ桜と春二こけし(2025.04.21)
- 第745夜:友の会4月例会(R7)(2025.04.19)
- 第744夜:後期高齢者突入!(そごう是伸展)(2025.03.27)
- 第743夜:友の会3月例会(R7)(2025.03.24)
- 第742夜:2本の末吉古品(2025.03.09)
「初期作」カテゴリの記事
- 第743夜:友の会3月例会(R7)(2025.03.24)
- 第737夜:「伝統こけし会」頒布(桜井昭二)(2025.02.10)
- 第736夜:「伝統こけし会」頒布(佐藤伝喜)(2025.01.31)
- 第734夜:2025年入手の古品(岡崎栄作)(2025.01.28)
- 第731夜:2025年初入手の古品(宮本永吉)(2025.01.09)
コメント