第596夜:津軽こけしの源流を求めて(諒祐2)
昨夜に続いて、諒祐さんのこけしを見て行こう。大阪こけし教室の「山河だより」や東京こけし友の会の「こけし手帖」の例会頒布こけしの写真を見てみると、諒祐さんは盛秀の古型と本人型を作っていることが分かる。両者を比べてみると、やはり盛秀古型の方に目が行ってしまう。一口に盛秀古型と言っても、その種類は結構沢山あり、それをどのように作っていくのかは興味深い。今夜のこけしもそんな盛秀古型の1本である。
こちらがそのこけしである。大きさは3寸8分。このこけしの「原」は昨夜と同様「こけし這子の話」掲載のこけしで、大きさは4寸8分である(第221夜:天江コレクションのこけし達参照)。肩が張って胴中がやや縊れた形態は昨夜の「4足亀」と同様で、胴中には「亀」の代わりに大きな「紅葉」が描かれている。面描では十日月の目が左右にやや離れ気味に描かれ、内側に寄った小さな眼点が異様さを放っている。諒祐さんのこけしでは、胴裾がやや絞り気味であり、一葉の紅葉は小振りで愛らしい。見開いたような大きな目で眼点も大きいため「原」の持つ不気味さは感じられず、無邪気で明るい幼子の雰囲気を持っている。
恵介こけし(右)と並べてみた。恵介こけしは原寸で左右に離れた目など「原」に忠実に作っているため、諒祐こけしから受ける感じとはかなり異なっている。諒祐こけしが今後どのように変化して行くのかを期待を持って見守りたい。
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