第598夜:宣直さんの復活こけしとその後
11月に行われた「第41回みちのくこけしまつり」で鳴子の髙橋宣直さんが官公庁長官賞を受賞した。「高亀」の伝統を受け継ぐ宣直さんが事情があってこけし作りから離れたのは平成17年9月のこと。多くのこけし愛好家が残念に思ったものである。父正吾さんの逝去(平成2年6月)に宣直さんもこけし作りの再開を決意したのであろう。大阪こけし教室の中根会長のご尽力もあって、令和3年4月、宣直さんの復活こけし(3月作)が大阪こけし教室から頒布された。先日、それ以降の作も含めて、中根会長からお譲り頂いたので紹介させていただく。口絵写真は復活初作こけしの表情である。
宣直さんのこけし製作に関しては築館の故青野弘氏の「高橋宣直さんの歩み」に詳しく書かれている。それによると、宣直さんは昭和60年、大学卒業と同時に父正吾さんに弟子入りした。こけしは翌61年の夏頃から作り始め、62年7月作では背に製作日付が書かれているとのこと。そして同年10月作では胴底に署名と日付がしっかり書かれるようになったそうだ。宣直さんの正式デビューは東京こけし友の会のおみやげこけしで、昭和63年11月の例会で頒布された。胴底には「昭.六十三.十一.十四 宣直」の署名がある。
こちら、左は宣直さんの初作こけし(昭和63年11月)4寸1分。右が今回の復活初作こけし(令和3年3月)本人型4寸6分である。胴に描かれているのは、蘭の花。この蘭の胴模様は平成4年に宣直さんが試作し、青野氏も参加して完成したもので、平成5年の6~7月に「つどい」にて精力的に販売された。
復活以降の作品を見てみよう。左から6寸1分(大阪こけし教室頒布品:R4.7.24)民族博物館蔵の渋沢敬三コレクションの写し、8寸(同:R4.9.25)中根会長蔵正末昭初の武蔵写し、6寸天江ビックリ目の縮小写しである。いずれも正吾さんを彷彿させる出来栄えであり、今後の活躍が期待される。
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